英語教育現場が必要としている英語コミュニケーション能力の科学的評価方法として、本研究では、オンライン・テストシステムを構築する計画であるが、研究初年度である平成11年度の研究実績は次の通りである。 1.英語コミュニケーション能力評価のための理論的研究、特にコミュニケーションに重点をおいたリスニング能力の評価についての全体像をまとめた。リスニングに関する先行研究で、日本人高校生が優位であったものとして、要点把握能力(情報の評価・選択)、相互作用能力(適切な応答、整理・伝達)があげられていたが、本年度実施された日本人高校生と韓国人高校生のリスニング能力を比較した結果、日本人高校生が優っていたのは要点把握能力のみで、それ以外の概要把握能力(状況の推測、意図の推測、情報の総合)や相互作用能力(適切な応答、確認・整理、伝達)は、大きく劣っていることが判明した。 2.英語コミュニケーション能力テストが、教育現場に与える波及効果を探るために、すでにリスニング・テストが大学入試に導入され、小学校でもコミュニケーション重視の英語教育が導入されている韓国を視察した。またコミュニケーション能力評価が、どのような影響を実際に英語指導教員に与えているかを調査するためにアンケートを作成し、日本と韓国の高校教員に送付した。 3.問題作成用のパソコン、音声と画像を記録するデジタルビデオ等を購入し、コンピュータ・ネットワーク上でのテスト実施、成績収集、データ分析が可能となる研究環境を整備した。
|