本研究の目的は、日本語を第二言語とする留学生の語彙能力を測定し、その能力に応じた語彙学習支援システムを開発することにある。第二言語能力を向上させるためには、語彙獲得が不可欠であることは従来より指摘されているが、現在まで語彙能力の構成概念、および能力測定に際しての操作的概念を明確に規定した研究は少なかった。昨年度は、語彙能力の習得状況をネットワークの密度として規定し、その密度の測定方法を検討した。同時に、語彙学習システムを試作し、そのシステムを筑波大学留学生センターの予備教育コースに在籍する学習者に対して使用しフィードバックを得た。本年度は、そのフィードバックに基づき、測定用システムと語彙学習システムを構築するためのデータベースを構築した。データベースは各語の音韻・表記情報、形態素情報、意味属性情報、統語情報を含み、計7729データから構成されており、1100の基本的な語に関しては連想される画像を作成し、データベース化を行った。そのデータを用いて、語彙能力の測定と語彙学習がインターネット上で行えるプログラムを開発し、試用を開始した。語彙のネットワークについても実験調査を行い、日本語母語話者と日本語学習者のネットワークの拡張方法について、論としてまとめた。
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