研究概要 |
研究期間初年度にあたる本年度は,実時間超多重処理が必須となるマルチメディアネットワーキング環境の具体例として,分散オブジェクト環境であるCORBA(Common Object Request Broker Architecture)を取りあげ,CORBAのオブジェクト間通信プロトコル処理のデータ駆動型実現法を検討するとともに,分散オブジェクト環境向きのデータ駆動プロセッサアーキテクチャを提案した. オブジェクト間通信のデータ駆動型実現法では,オブジェクト間通信プロトコル処理を,通信するメッセージ本体とプロトコルにより付加されるヘッダ部の処理を同時並行に行える処理構造で実現することにより,多重処理時においても,ターンアラウンドタイムが最短に維持できる可能性があることを予備的評価により明らかにした. このオブジェクト間通信プロトコル処理のデータ駆動型実現法を通じて,スーパーインテグレーションによるデータ駆動プロセッサの命令セットアーキテクチャ,ならびにパイプライン構成を検討し,現在実用化されているチップの集積度を仮定して,オブジェクト間通信処理向きのデータ駆動プロセッサアーキテクチャを提案した.具体的には,オブジェクト間通信プロトコル処理に必要性に応じて,スーパーインテグレーションされるヘテロジニアスなプロセッサの構成を決定するとともに,プロセッサ間の接続をオブジェクト間通信プロトコル処理の流れにあわせて最適化した.その結果,現在の集積度でも,オブジェクト間通信プロトコル処理が1チップで実現できる見通しを得た.
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