研究課題/領域番号 |
11878057
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
進藤 克博 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00302117)
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研究分担者 |
松岡 洋夫 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (00173815)
松本 和紀 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (40301056)
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キーワード | ERPs / Priming / Repetition / N400 / Semantic / NA電位 / 意味 / 言語 |
研究概要 |
本研究は脳内で行われる言語情報処理の「知覚処理」から「意味処理」への変換の仕組みとその相互作用を電気生理学的に解明していくため日本語のひらがなと漢字という物理的特徴の異なる二種類の文字情報を用いた研究を行った。用いる実験手法は事象関連電位で、早期の知覚情報処理に関わるNA電位とERP反復効果を指標にする。今年はERP反復効果に注目し、これが文字の種類によってどのように変化するか、時間的影響をどのように受けるかを調べた。対象は健常者12名で、(1)ひらがな疑似単語、(2)ひらがな意味単語、(3)漢字の三種類を刺激として用い、それぞれの刺激系列を提示中に意味範疇課題を行った。標的はある意味範疇に属する単語で、非標的は各系列中のそれ以外の単語であった。非標的の半分は初回に提示される単語で、残り半分は直後反復される単語と平均5単語間隔をおいて遅延反復される単語とに分けられた。反復そのものは課題と関連性を有していない。この結果直後反復ではCzを中心に陽性に振れる反復効果が(1)と(2)では300〜698msで、(3)では300〜598msで有意であった。遅延反復では同様の反復効果が(3)で300〜598msで、(2)で500〜598で有意であったが、(1)では認めなかった。すなわち直後反復効果は、文字の種類、意味の有無に関わらず類似した効果を現したが、遅延反復では漢字では直後反復と同等の効果が得られたが、ひらがな単語ではその効果は部分的で、振幅も乏しく、また意味をもたない疑似単語では効果を認めなかった。直後反復で短時間保持される記憶表象は、意味の有無・文字の種類の影響を受けないが、遅延反復において15秒程度の保持が要求される記憶表象では、意味の有無・文字の種類の影響を受けることが分かった。直後反復と遅延反復では異なる脳内機構がはたらき、視覚性意味情報処理におけるかなと漢字の違いが示唆された。
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