研究課題/領域番号 |
11878081
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊藤 靖彦 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (20026066)
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研究分担者 |
野平 俊之 京都大学, エネルギー科学研究科, 助手 (00303876)
後藤 琢也 京都大学, エネルギー科学研究科, 助手 (60296754)
萩原 理加 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教授 (30237911)
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キーワード | 電気化学 / 低温溶融塩 / 水素 / リチウム / 熱再生型燃料電池 / 水素化アルミニウムリチウム / 水素化ホウ素リチウム |
研究概要 |
本研究は、EMIC(エチルメチルイミダゾリウムクロリド)-AlCl_3系低温溶融塩を用いる新規な水素-リチウム熱再生型燃料電池の開発を目的としている。平成12年度は、水素源として水素化アルミニウムリチウム(LiAlH_4)を添加した、LiCl緩衝中性溶融塩系(AlCl_3:EMIC:LiCl=1.1:1:0.2)における水素電極反応を調べた。浴のラマン分光分析の結果から、水素を含むアニオン種(Al_2Cl_6H^-、Al_2Cl_5H_2^-等)の存在が示唆された。W電極を用いた電気化学測定の結果、-0.4V(vs.Al(III)/Al)よりも貴な電領域において、これらのアニオン種のアノード酸化による水素ガス発生が起こることが確認された。また、電極にPdおよびTiを用いた場合、電極中への電気化学的な水素吸蔵が起こることも分かった。さらに、一度水素を吸蔵させたPd電極を-0.7Vで保持することにより、電極中の水素が電気化学的に放出されることも分かった。しかし、この系におけるAlの析出反応が-0.8V付近に存在するため、水素-リチウム熱再生型燃料電池を構築した場合、起電力が大きくとれないことが予想される。この結果を踏まえ、新たな電解質として、水素化ホウ素リチウム(LiBH_4)を添加したEMIC-AlCl_3系低温溶融塩に関して検討を行った。ラマン分光分析の結果、塩基性溶融塩(AlCl_3:EMIC=44:56)にLiBH_4を添加した場合、BH_4^-およびB_2H_7^-が生成することが分かった。W電極を用いた電気化学測定により、-0.6V(vs.Al(III)/Al)よりも貴な電位領域でアノード反応により水素ガス発生が起こることが確認された。この浴の卑な側の電位窓限界は、約-1.8V(vs.Al(III)/Al)であるため、水素-リチウム熱再生型燃料電池を構築した場合に、起電力は1V以上得られる可能性が示された。
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