● 井戸型Ge検出器のβ線検出器としての有効性の実証 初年度、シミュレーションの結果から井戸型Ge検出器のβ線検出器としの有効性が期待されることがわかったので、今年度は、標準線源^<90>Sr/Y、^<68>Ge/Gaの測定を行った。得られたエネルギースペクトルのフェルミ・カリープロットは非常によい直線性を示すことがわかり、アルミニウムによるエネルギー損失分の200keV程度を適切に補正すれば、高効率のβ線検出器となることが実証できた。^<68>Ge/Gaのスペクトルから、β^+崩壊の場合の511keVの消滅γ線が効率よく検出されβ線と加算されることがわかった。 ^<207>Biの内部転換電子も測定し電子のエネルギー損失がほぼ200keVであることも確認した。 ● 新型検出器の概念設計 以上の結果に基づき、新型のβ線検出器の設計・開発へと発展させた。 井戸型Geの利点を生かしつつ、京大原子炉および原子力研究所などのオンライン同位体分離装置に取り付け可能なものとして大型結晶の真同軸型Ge検出器の製作を開始した。直径8.5cm、長さ9.5cmとし中心部分は直径2cmの穴を貫通させ、テープ式不安定核収集装置のテープが通るように設計した。検出器の周りには検出器を透過するγ線を同時計数あるいは反同時計数測定できるBGOシンチレーション検出器配置し、散乱成分を除去するフィルターとして用いる。この検出器を用いると高効率かつ高精度で崩壊エネルギーを決定できることが期待できる。
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