研究概要 |
糖結合性タンパク質であるレクチンに特異的に認識されるマンノース,ガラクトース,N-アセチルグルコサミン,ラクトースと長鎖アルキン基を有するアルコールあるいはチオールを縮合させた配糖体を合成し,そのミセル形成能力を検討した.合成には各単糖および二糖類を完全アセチル化し,ついでルイス酸存在下無水溶媒中でアルコール,チオールと反応させると高収率で目的配糖体を与えた.炭素数12および18のラウリルおよびステアリル基を有する化合物を合成したが,合成の容易さならびに溶解性の点からラウリルチオグリコシドが本研究の最適の基質であることが判明した. さらに,このアルキルグリコシドを市販の各種界面活性剤と混合して,水中で芳香族化合物ピレンを蛍光プローブとしてミセル形成の実験を行った.その結果,低濃度では均一な溶液であるが,10^<-4>-10^<-5>Mの濃度で界面活性剤の分子集合が起こりミセルを形成し脂溶性のプローブをミセル内へ取り込むことが判明した.現在その危険性が指摘されているほとんどの内分泌撹乱化学物質(EDC)はピレンと同様の芳香族化合物であることから,それらの捕捉作用を有することが示唆された.現在,種々のEDCを用いて実際の捕捉能を調べるとともに,レクチンによるミセルの凝集化を検討している.
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