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1999 年度 実績報告書

ヒトの免疫系活性化におけるリピドAの動物機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 11878108
研究機関大阪大学

研究代表者

及川 雅人  大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70273571)

キーワードリピドA / 合成 / 安定同位体標識 / コンホメーション / NMR
研究概要

リピドAはグラム陰性菌の細胞表層の構成成分リポ多糖の末端部分構造で、リポ多糖が示すエンドトキシン活性の本体である。リピドAが人に対して示す生理活性は、血中の大食細胞の表層のレセプターに認識されることで免疫系が活性化されて引き起こされる。リピドAはグルコサミン二糖に脂質が縮合した構造を有しており、その脂質の長さや数を変化させると生物活性が大きく影響を受けることを私たちはすでに見いだしている。異なる性質の脂質を有する化合物は、水溶液中では互いに異なる分子コンホメーションを有しているに違いないと考え、本研究では脂質の長さと生物活性だけが異なる2種類のリピドA類縁体の1^1-^<13>C標識体をNMRを用いたコンホメーション解析のために合成した。出発原料としては(1-^<13>C)グルコースを用い、それを保護グルコサミンに収率よく変換し、目的とする標識体へと全26段階で導いた。これらをSDSミセル重水溶液に溶解してNMRを測定し、糖残基間のC-Hスピン結合定数(^3J_<C1・.H6>)を求めて配座解析を行った.この結果とすでに6-^<13>C標識体によって明らかとなっている他の結合の配座情報と組み合わせて、これらリピドA類縁体のコンホメーションを明らかにすることに成功した。それらは予想通り全く異なるコンホメーションで存在しており、その違いが生物活性に影響を及ぼしていることが示唆された。すでに私たちは生物活性を有する天然型の類縁体は主に脂質の相互作用によって自己会合をしていることも見いだしており、この研究で明らかになったりピドAの超分子モデルはグラム陰性菌の表層に普遍的に存在して、その細胞の構造を維持しているリピドAの細胞表層でのコンホメーションを示すものでもあると考えられる。私たちはマウスマクロファージ上のリピドA結合タンパク質をリピドAのトリチウム標識体を用いて検出することにも成功しており、本研究で明らかとなったリピドAの活性型分子コンホメーションはそのタンパク質との相互作用を解析するうえでも重要と思われる。そのために必要な完全13C標識化リピドAに合成経路も本研究において確立しており、両者の相互作用を分子レベルで解析するための端緒が招かれたことになる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 劉分驥: "A Divergent Synthesis of Lipid A and Its Chemically Stable Unnatural Analogues"Bulletin of the Chemical Society of Japan. 54巻16号. 1377-1385 (1999)

  • [文献書誌] 及川雅人: "Synthesis of C^<13>-Labeled Biosynthetic Precursor of Lipid A and its Analogue with Shorter Acyl Chains"Bulletin of the Chemical Society of Japan. 54巻16号. 1857-1867 (1999)

  • [文献書誌] 及川雅人: "Synthesis and Bioactivity of a Fluorescence-Labeled Lipid A Analogue"Tetrahedron Letters. 40巻28号. 5199-5202 (1999)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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