研究概要 |
植物の光シグナル伝達を仲介するプロテインキナーゼの検出同定および部分精製を行い以下の結果を得た。 1.光依存的に活性化されるプロテインキナーゼの特性解析 これまでに、ダイズ光独立栄養培養細胞(SB-P細胞)中に光依存的に一過的に活性化する46kDのプロテインキナーゼを見出し、LAPK(light-signal activated protein kinase)と名付けた。LAPKは自己リン酸化能を有し、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、ヒストンをリン酸化したが、カゼインはリン酸化しなかった。MBP中のリン酸化アミノ酸残基を同定し、LAPKがセリン/スレオニンキナーゼであることを明らかにした。また、抗-リン酸化チロシン抗体を用いるウェスタンブロッティングとチロシンフォスファターゼの作用から、LAPKの活性化/不活性化は、光依存的なチロシンのリン酸化/脱リン酸化によることが示唆された。さらに、LAPKは青色光シグナルによって活性化されることが示唆された。以上のLAPKの特性はMAPKに類似していた。 2.LAPKの精製 光照射したSB-P細胞より活性型のLAPKを硫安分画、Q-Sepharose,phenyl-Sepharose,histone-Sepharose等を用いるカラムクロマトグラフィーにより部分精製し、in gel kinaseアッセイにおいて3種類のプロテインキナーゼ活性を含む精製標品を得た。現在、さらに精製を進行中である。
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