ユビキチン類似のタンパク質結合反応系は細胞の様々な機能の制御に重要な役割を担っている。我々はオートファジーに必須の機能を持つタンパク質群の中にユビキチンと相同性を有していないApg12結合反応系を見出した。このことは従来考えられていたよりもさらに類似の反応系が存在することを示唆するものである。酵母は既に全ゲノム解析が完了しており、全ての系を記述することが可能であると考えた。今回我々は非常に弱いホモロジーを手がかりに新規のタンパク質結合反応系を明らかにすることに成功した。新規のモディファイヤーUrm1は、Gly-GlyをC一末端にもつ99アミノ酸からなるタンパク質である。Urm1は今回活性化酵素E1として同定したUba4と結合しチオエステルを形成する。Uba4は49.4kDaのタンパク質でUba1を始めとするE1に保存された配列を有していた。Urm1が細胞内で少なくとも2つのターゲットタンパク質に結合したすることが明らかとなった。この結合体形成には予想される様にUrm1のC一末端GlyとUba4が必要であった。Urm1経路の欠損株は温度感受性となる。この経路はチアミンやモリブドプテリンの生合成には関与していないと考えられるが、大腸菌のこれらの反応における硫黄の転移反応系の酵素と明らかな相同性を持つことが明らかとなった。これまでタンパク質結合反応系は真核生物に広く保存いると考えられてきたが、今回の原核細胞の反応経路との相同性の発見はユビキチンを始めとする結合反応系の起源を考える上で重要な意味を持つものと考えられる。
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