RBやPTENなどの癌抑制蛋白質が、癌のテロメレース活性を抑えることが報告されている我々は、膀胱癌、胃癌、大腸癌、肺癌などの固型癌細胞株および組織においてゲルソリンの発現が低下しており、ゲルソリンcDNAを移入して高発現させるとこれらの癌の腫瘍原生が低下又は消失することから、ゲルソリンが癌抑制蛋白質であることを報告してきた. 今回、ゲルソリンの癌抑制がテロメレース活性を介するかどうかについて検討した.肺癌細胞株PC10にレトロウイルスベクターを用いてneo遺伝子またはヒトゲルソリンcDNAを導入し、それぞれPC10Neo3、PC10Neo4およびPC10Gsn2、PC10Gsn3を樹立した.ゲルソリン高発現株PC10Gsn2、PC10Gsn3では、PC10親株、PC10Neo3およびPC10Neo4に比較し、1%FCS添加RPMI液体培地での増殖能、軟寒天培地での増殖能、ヌードマウス皮下における増殖能のいずれにおいても、強い抑制が観察された.これらの細胞株においてテロメレース活性と平行するテロメレース触媒サブユニット遺伝子hTERTの発現を定量的RT-PCR法を用いて測定したところ、親株やneo遺伝子移入細胞株に比べPC10Gsn2、PC10Gsn3では50%以上の低下が見られた. 以上のことから、ゲルソリンによる肺癌細胞株PC10の腫瘍原生抑制にはTERT遺伝子の発現が関与している可能性が示唆された.
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