東南アジアを代表して、タイ・フィリピン・ベトナム・ラオスにおける、石炭灰の品質および環境条件を考慮したコンクリートの配合設計・施工方法を調査した。その結果得られた研究実績を下記する。 1.石炭灰の品質調査 タイにおいては、石炭灰を混和材として用いたコンクリートの使用が多く行われている。一方、フィリピンにおいては、石炭灰の有効利用は行われていない。タイおよびフィリピンの石炭灰は、日本の石炭灰と比較して比表面積が小さく、粒形が角張っている。 2.自然条件調査 東南アジアの、気温および湿度は高い。このため、コンクリートの発熱温度を低減させるため、氷を用いた夜間の打設が行われている。今後、気温が高い地域におけるコンクリートの規格を整備する必要がある。 3.社会条件調査 東南アジアにおける材料コストおよび人件費は安価である。また、コンクリート作製時に使用される機械は単純である。 4.既存コンクリートの耐久性調査 湾岸施設のコンクリート構造物における、塩化物イオン浸透性および中性化浸透深さを測定した。その結果、築後13〜16年のコンクリートにおいては、中性化浸透深さは0.1cm程度と小さく、一方塩化物イオン浸透深さは3.6〜4.0cmであった。
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