研究課題/領域番号 |
11897012
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
眞野 行生 北海道大学, 医学部, 教授 (20145882)
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研究分担者 |
辻 貞俊 産業医科大学, 医学部, 教授 (30117171)
田代 邦雄 北海道大学, 医学部, 教授 (90002154)
中馬 孝容 北海道大学, 医学部, 助手 (70281805)
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キーワード | 反復経頭蓋磁気刺激 / 中枢神経疾患 / うつ症状 / 8の字コイル / 大うつ病 / パーキンソン病 / 前前頭野 |
研究概要 |
経頭蓋磁気刺激を与えると、神経系の機能に変化を与えることが観察されるようになり、反復経頭蓋磁気刺激法(rTMS)が中枢神経疾患の治療に用いられようとしている。そこで、rTMSの安全でかつ有効な投与法の検討が、求められている。これまで副作用として痙攣や機能異常、脳波上の異常波の誘発などの指摘がある。これらの研究は世界的規模で行われており、国内、国外の治験の集積により、より有効でかつ安全な施行方法を追求する、反復経頭蓋磁気刺激法(rTMS)の臨床応用を検討する国際会議を開催した。 本シンポジウムの目的はrTMSのヒトへの応用での安全性と効果であり、またそのメカニズムの解明である。シンポジウムでの結果をまとめると、rTMSでは大脳皮質の興奮と抑制をひきおこしている。rTMSで大脳の局所を刺激した時に、その反応は局所にとどまらず、経シナプス的に他部位に強い影響を及ぼす。また脳の再構築にはその闘値などの関与がある。最近低頻度rTMSが使われ始めているが、高頻度rTMSとその作用機構に質の差があることが示唆された。さらに、ヒトへの治療の応用にあたって、安全域の設定には慎重である必要があり、危険をよく知り、動物実験などの結果も重視する必要があると思われた。うつ病への応用にあたって、電気痙攣療法(ECT)を受けている患者さんにとっては、意識消失、痙攣、記憶障害などのETCの副作用を本法はさけれるため、rTMSの方がより安全であると思われる。刺激最適部位といわれる前前頭野の左右にbalance theoryが存在し大脳の左右への刺激の効果には差があると議論された。 パーキンソン病(PD)へのrTMSの応用では、PDではうつ症状がよくなればQOLはかなり改善するといわれており、rTMSの抗うつ作用が改善に一定の役割をしていると考えられる。PDでの治療では刺激部位が運動野と前前頭野での差はあるのか、あるいは大脳への刺激が経シナプス的に基底核に影響を及ぼしているのかがさらに解明されれば、rTMSはさらに発展すると思われた。
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