研究課題
疫学調査の内容・方法を立案するために、平成11年6月、9月、12年1月の3回、研究会議あるいは打ち合わせを行った。同時に、診療実体の調査について、その可能性妥当性について検討した。一方、6月にローマで行われた第3回世界聴神経腫瘍学会において以前より疫学調査を行っているデンマークの研究者と討論を行い、またスウェーデン、フランス、アメリカの各国の診寮の実状につき意見を交換した。更に11月に韓国頭蓋底外科学会議に参加して我国の診療の実状につき発表すると共に、アジアでは同等の診療レベルと思われる韓国の状況について討論を行った。これらに基づき本邦における調査に先立つパイロットスタディとしてまず宮城県における実状を調査したところ、年間の発生数は文献上の数値(人口10万人に対し年間0.8人)を上回り、人口10万人あたり年間1.2〜1.3人と思われた。これは発生数が増加していることを示すのではなく、診断技術の発達によりより早期の発見が可能となったためと思われた。また、腫瘍増大速度の研究から約半数の症例では増大が極めて援途であることが判明し、それを反映して、治療せずに経過観察としている例が増加していることがわかった。以上により全国調査の企画を立案し終え、次年度以降に調査を実行する予定である。