研究課題
Gu博士の研究課題は、近傍から遠方にかけての銀河団のX線画像と可視光画像を系統的に解析することを通じ、「銀河団中のメンバー銀河はプラズマとの相互作用により、宇宙年齢かけて重力ポテンシャルの中心に向け落下するはず」という、牧島が2001年に提唱した独創的な予言を、観測的に実証することである。我々は昨年度、約40個の銀河団の可視光画像とX線公開データを解析し、「遠方の銀河団ほど、プラズマの周辺まで銀河が広く分布しており、逆に近傍の銀河団ではプラズマの中心部に銀河が密集する」という結果を得ていた。これにより予言どおり、銀河が宇宙年齢かけて銀河団の中心部めがけて落下してきたことが確実となった。またおもに日本国内で、この成果の宣伝に努めた。以上を受けて今年度は、以下の3つの研究を進め、いずれも成功裡に完了した。q)天体の選定に伴う各種の選択効果、データ解析に伴うさまざまな誤差などを慎重に評価し、上記の結果が確実であることを検証した。(2)Gu博士がこれらの結果をいくつかの国際研究集会で発表することで、我々の新しい成果を全世界の研究コミュニティに問いかけた結果、概して肯定的な反響を得た。(3)結果を論文にまとめ、Astrophysical Journal誌に投稿し、スムーズに受理に漕ぎ着けることに成功した。以上により本研究は、当初の目的を遥かに上回る成功を収めた。さらにGu博士の発案により、銀河とプラズマの相互作用の現場を見るべく、「おとめ座」銀河団のいくつかの渦巻き銀河が弱電離水素ガスの尾を引きながら動いている現場を、「すばる」望遠鏡などで詳しく可視光観測し、銀河のガスがどのようにはぎ取られて行くかを調べる研究が立ち上がった。これは当初に目的とした研究の、いわば第2段階であり、さらなる研究の展開が予見される。
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Astrophyscal Journal
巻: (印刷中)
巻: 749 ページ: id 186 ; 1-18
10.1088/0004-637X/749/2/186
Galaxy Clusters as Giant Cosmic Laboratories, Proc. XMM-Newton Workshop
ページ: 18-19