研究課題/領域番号 |
11F01028
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
上田 潔 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授
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研究分担者 |
MONDAL Subhendu 東北大学, 多元物質科学研究所, 外国人特別研究員
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キーワード | 光電子回折 / 放射光 / 自由電子レーザー / 原子分子 |
研究概要 |
当初、CO分子等の光電子回折実験をSPring-8のBL27SUにおいて同時計測装置を用いて行う計画を立てていたが、この研究主題でのビームタイムが獲得できなかった。そこで等価な情報を得ることのできる高分解能光電子分光による光電子回折実験を、フランスのSoleilにおいてCO,CF_4のCls光電子、BF_3のB ls光電子ついて行った。振動分岐比を光電子の運動量の関数としてプロットすることにより、見事に光電子回折を捉えることに成功した。現在、この回折パターンから分子の結合長を求めることを試みている。SPring-8のBL27SUでは、原子間電子緩和を、同時計測装置を用いて観測する研究に参加して、実験の成功に大きく貢献した。 当初、SPring-8の試験加速器(極紫外自由電子レーザー)を用いて解離しつつある分子H_2,Br_2の光電子干渉を見ることを計画していたが、これらの試料ガスの使用は不可能であった。米国のLCLSでのX線自由電子レーザー実験、日本のX線自由電子レーザーSACLAでのコミッショニング実験に参加し、データ解析を担い、プロジェクトに大きく貢献した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に記した文字通りの実験はビームタイムプロポーザルの諾否もあって必ずしも順調とはいえないが、幸い、内外の施設を用いて、ほぼ同じ情報を得ることのできる実験を遂行することができた。 結果として、順当に、おおむね期待どおり成果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
来日して以来、SPring-8やSoleilでの軟X線ビームラインでの実験、SPring-8にあるSCSS試験加速器(EUVFEL)やSACLA(XFEL)、米国のFEL施設LCLSでの実験に参加してきた結果、本人は、今年、FELを用いた時間分解分光実験を准進することを強く望んでいる。プロポーザルが受諾されてすでにビームタイムが決定しているSCSS,SACLA,LCLS,FLASHの実験は、申請書に記した実験とは若干異なるが、これらの課題を通して、本人が希望しているFELを用いた時間分解分光実験による分子解離や分子異性化の研究を推進することができるので、この方向で研究を推進し、成果をまとめる。
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