研究課題
著者らは、軸受面の外周から中央へ向かう進行波を発生させることで強力な浮上力を発生する非接触流体軸受を発案している。本軸受は、従来原理の実用上の限界を超える軸受圧力(耐荷重)を発生し得る可能性を持ち、原理的に電気的制御性を有し、吸着から浮上までの広い範囲で、高い応答性(流量が少ないため)を実現し得ることが期待される。そこで本研究では、進行波軸受原理により、従来原理の限界を超える性能(高剛性、高耐荷重、制御性)を有する精密軸受の実現を目指した。本軸受は、上記のように独創的な原理によって、従来にはない多くの特長を有している。しかし、研究としては初めての試作機によって非接触浮上が確認された初期段階にある。このため下記研究を実施し、従来原理では実現し得なかった超精密、高剛性、高耐荷重、制御性を有する軸受開発を試みた。本年度は、昨年度までに解析的に確認した、軸受媒体として液体を用いることによる剛性・耐荷重性能の大幅向上、およびオフセット電圧を与えて振動を抑制する手法について、実験的に実証することを試みた。実際に進行波を発生する高剛性アクチュエータユニットを複数開発し、それらを組み合わせて進行波軸受装置を試作し、作動油を介して非接触浮上力を計測した。その結果、例えば駆動周波数600Hz、駆動電圧150V、軸受すき間8pmの条件において、約200Nの浮上力が得られることを確認した。これは、進行波発生部の面積が約20x40x4mm^2、中央の圧力溜まりの面積が40x40mm^2であることを考えると、低い浮上力ではない。しかし、解析モデルによって得られた極めて高い性能には達しておらず、試作装置の高精度化、高剛性化が今後の課題である。
2: おおむね順調に進展している
計画した解析モデルによる検討、試作機の開発とその装置による実験的検証を実施することができた。
順調に進展した。ただし、今後の課題も残る結果となった。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 備考 (1件)
トライボロジスト
巻: 58-6 ページ: 367-372
Control Engineering Practice
巻: 21-11 ページ: 1519-1530
10.1016/j.conengprac.2013.07.001
IEEE/ASME Transactions on Mechatronics
巻: Issue:99(掲載決定)
10.1109/TMECH.2013.2292952
Int. J. of Automation Technology
巻: Vol.7,No.5 ページ: 514-524
Precision Engineering
巻: Vol.37, Issue 3 ページ: 580-589
10.1016/j.precisioneng.2013.01.003
http://wwwmech.nagoya-u.ac.jp/upr/