研究課題/領域番号 |
11F01059
|
研究機関 | 豊田工業大学 |
研究代表者 |
大石 泰丈 豊田工業大学, 大学院・工学研究科, 教授
|
研究分担者 |
メイソン リャオ 豊田工業大学, 大学院・工学研究科, 外国人特別研究員
|
キーワード | 広帯域光源 / 光信号処理 / 光物性 / 非線形光学 / 微細構造導波路 |
研究概要 |
(1)低軟化ガラス光ファイバ用のテーパーファイバ作製装置を作製した。 (2)As_2S_3ガラスを使った微細構造ファイバの作製に成功した。さらに、ファイバのテーパー化にも成功した。2μmのフェムト秒レーザ励起により、1μmから3μmを超えるスーパーコンティニューム(SC)光の発生に成功した。 (3)中赤外領域の光透過特性優れたカルコゲナイドガラスの候補としてGe-Ga-Sb-S系およびGe-Ga-Sb-Te系ガラスの素材研究を進めた。コアガラスとしてのGe-Ga-Sb-Te系ガラス、およびクラッドガラスとしてのGe-Ga-Sb-S系ガラスの組成を確定し、それらを用いてコンポジットMOFの作製に初めて成功した。Ge-Ga-Sb-S系ガラスを用いることにより、カルコゲナイドコンポジット微細構造ファイバの作製が可能であることを明らかにした。さらに、物性特性値をもとに波長分散特性およびSC光発生シミュレーションを進め、10μm以上の波長のSC光の発生が可能であることを明らかにした。 (4)上記の新たに開発したカルコゲナイドガラスのラマン応答関数を明らかにした。 (5)OH、SH基等の不純物吸収により、SCの成長が妨げられることを明らかにし、その低減が広帯域SC発生に必要であることを明らかにした。 (6)テルライトガラスをSC媒質として、filamentationによるSC発生を行った。その結果、可視から6μmにおよぶ広帯域SCの発生に成功した。このSC光がテルライトガラスやファイバで観測されたもののなかで最も広帯域のものであり、filamentationによるSC発光がSC発生限界を見極めるために有効であることを明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)中赤外SC光測定システムを確立できた。(2)As_2S_3テーパーPCFの作製に成功し、3μmを超えるSC光の発生に成功し、テーパー化がSC光長波長域拡張に有効であることを明らかにした。(3)コアガラスとしてのGe-Ga-Sb-Te系ガラス、およびクラッドガラスとしてのGe-Ga-Sb-S系ガラスの組成を確定し、それらを用いてコンポジットPCFの作製に初めて成功した。(4)長波長SCの発生には、OH,SH等の不純物吸収の除去が重要であることを明らかにした。(5)テルライトガラスを用いて可視から6μmにおよぶ広帯域SCの発生に成功した。このSC光がテルライトガラスやファイバで観測されたSC光で最も広帯域のものであり、filamentationによるSC発光がSC発生限界を見極めるために有効であることを明らかにした。
|
今後の研究の推進方策 |
(1)広帯域SC実現のための微細構造ファイバの基本構造が明らかにし、波長分散制御も可能であることも解明した。今後は、実際に作製した微細構造ファイバの波長分散の検証が重要になる。また、波長分散特性検証手法の実現が必要になる。 (2)微細構造ファイバの透過特性の向上も重要な課題となると考えられる。そのための作製技術の高度化が求められると考えられる。 (3)励起手法の検討も併せて重要になると考えられる。また、各種波長および特性の励起光源の開発も重要なると考えられる。 (4)Filamentationにより各種赤外透過ガラスのSC発光特性の限界を解明する。
|