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2011 年度 実績報告書

リチウム吸蔵合金を用いた水素貯蔵材料の特性制御技術の確立

研究課題

研究課題/領域番号 11F01068
研究機関広島大学

研究代表者

市川 貴之  広島大学, 先進機能物質研究センター, 准教授

研究分担者 JAIN Ankur  広島大学, 先進機能物質研究センター, 外国人特別研究員
キーワード水素貯蔵材料 / リチウムイオン電池 / メカニカルアロイング
研究概要

リチウム吸蔵合金を用いた水素貯蔵材料の熱力学的制御を目的として,今年度はLi-Ge合金に着目し,研究を行った。合金作製ために原子比でLi:Ge=22:5(=4.4:1)となるように秤量して容器内に仕込み,メカニカルアロイング法によって合金合成を試みた。安定的に得られたのは,Li:Ge=15:4(=3.75:1)の比の組成であることがX線回折の結果から明らかとなった。この相は,400℃程度の熱処理によって,Li:Ge=22:5(=4.4:1)とLi:Ge=7:2(=3.5:1)の二相に相分離することが明らかとなり,Li-Ge合金自体,非常に複雑な熱力学に支配されている様子がうかがえた。
その後,得られたLi:Ge=3.75:1の組成を取る物質に対して水素化処理を施したところ,想定通り水素化リチウムが生成するととに,Li-Ge合金からのLi脱離反応が進行する様子が見て取れた。結果として,二段階の水素化反応にともなって,Li:Ge=2.35:1の相の析出の後に,Li:Ge=2:1となる,Li4Ge2Hの相まで到達することが明らかとなった。
一方,反応にともなうエンタルピー変化およびエントロピー変化は,水素1molあたりでそれぞれΔH=143kJ,ΔS=155J/K,ΔH=79kJ,ΔS;117J/Kとなり,LiH単独の脱水素化にともなうΔH=180kJに比べて著しく小さくなっていることが分かる。以上の事実より,無機水素化物であるLiHに吸蔵された水素をGeとの反応性によって,熱力学特性を向上させることができたことが明らかとなった。さらに,Geに対して,第三の元素を添加することにより,水素吸蔵・放出にともなう熱力学特性の制御へと,さらに発展できることを示唆している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

8月より開始し,順調に結果が出て,3月末に開催された日本金属学会において,発表を行うことができた。また,現在,得られた成果を論文にまとめ投稿を予定しているところである。

今後の研究の推進方策

日本国内外問わず得られた成果を報告し,新しい水素貯蔵材料の系としての認知をはかりたいと考えている。また,これまでエネルギー貯蔵材料として独立に研究・開発が推進されてきた,水素貯蔵材料としてのリチウム吸蔵合金と,リチウムイオン電池の負極材料としてのリチウム吸蔵合金を化学反応という観点から共通点を見出し,それぞれの研究の発展につなげていきたい。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Destabilization of LiH by Ge Substitution2012

    • 著者名/発表者名
      Jain Ankur, 河迫恵莉加, 宮岡裕樹, 市川貴之, 小島由継
    • 学会等名
      日本金属学会2012年春期(第150回)大会
    • 発表場所
      横浜国立大学
    • 年月日
      2012-03-29
  • [学会発表] Hydrogen Storage Properties of Li-Ge alloy prepared by Ball milling2012

    • 著者名/発表者名
      J.Ankur, E.Kawasako, H.Miyaoka, T.Ichikawa, Y.Kojima
    • 学会等名
      Hiroshima International Symposium on Sustainability Sciences
    • 発表場所
      広島大学
    • 年月日
      2012-03-08

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公開日: 2013-06-26   更新日: 2013-07-01  

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