研究課題/領域番号 |
11F01072
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
野村 琴広 首都大学東京, 理工学研究科, 教授
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研究分担者 |
KOTTUKKAL BijalBahureyan 首都大学東京, 理工学研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | バナジウム / オレフィンメタセシス / アルキリデン錯体 / 配位・挿入反応 / アルキル錯体 / 固定化触媒 / オレフィン重合 / 触媒設計 |
研究概要 |
本課題は、従来触媒で達成できない高効率合成や高機能材料の創製を可能とする高性能分子触媒の設計・創製に関する。特にオレフィンとの高い反応性を示すバナジウム触媒、特にσ及びπドナー性を有する2つめ配位子を有する最高酸化数の5価錯体に注目し、オレフィンのメタセシス反応や重合・二量化に超高活性を示す触媒の創製を主目的とし、最終的には分子レベルで担体に固定化する手法の開拓を予定している。平成24年度の主な成果は以下の通りである。 1,3-位に置換フェニル基を有するイミダゾリジン-2-イミナト配位子、及び(2,6-ジメチルフェニル、フェニルやアダマンチル)イミド配位子を有するバナジウムジアルキル錯体を各種合成・同定し、一部の錯体はX線構造解析で構造決定した。これらの錯体を重ベンゼン溶媒中、PMe3存在下で加熱することで、金属-炭素二重結合を有するアルキリデン錯体の合成・同定に成功している(新規4錯体)。これらの錯体は、環状オレフィンの開環メタセシス重合に活性を示し、その触媒活性は使用するアニオン性配位子の影響を強く受けた。 イミダゾリン-2-イミナトやイミダゾリジン-2-イミナト配位子を有する各種イミド配位バナジウムジクロリド錯体は、ハロゲン化有機アルミニウム助触媒の存在下、エチレンと環状オレフィンとの共重合に高い触媒活性を示し、超高分子量ポリマーを与えた。活性や相対反応性は、使用する配位子の影響を得けることも明らかになり、X線構造解析からの錯体の構造(結合距離など)と触媒性能との相関を現在考察している途上である。また、別の位置に置換基を導入すると活性が顕著に向上する知見も得られており、今後詳細に検討予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
数多くの新規錯体の合成・同定に成功し、オレフィンの配位重合やメタセシス反応に有用な多くの独自性の高い知見を得ており、当初計画以上に推移している。一方で、学術論文は近日投稿予定で、成果をタイムリーにまとめるためにもう少し効率よく研究を進められないかと感じている。
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今後の研究の推進方策 |
既に学術的に質の高い結果が多くあり、残された期間で学術論文としてまとめる予定である。また、配位子上の別の位置に置換基を導入することで、活性が向上する事実があり、残された期間でできる範囲で成果をまとめたいと考えている。本触媒の固定化は、担持助触媒の使用により可能で、所期の目的は達成可能と考えている。
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