研究概要 |
【目的】植物は、日々変化している様々な種類の環境変化を感知し、遺伝子発現を調節することで新たな環境に適応して行く。遺伝子の発現調節はプロモーター上にある転写制御配列(シス配列)により実現されている。同じ発現様式を示す遺伝子のプロモーターは共通するシス配列を持つ、という仮説に従えば、大規模遺伝子発現データをもとに転写制御配列を予測することが可能である。発表者らはこれまでの研究によりAl,Cd,CuイオンとNaClストレスで誘導される遺伝子群をシロイヌナズナマイクロアレイ解析により同定してきた。本研究では、これまで一般的に行われてきたコンセンサス配列の抽出を行うのではなく、頻度比較を第一のストラテジーとして転写制御配列の予測を行い、金属イオン応答を担う機能シス配列の推定、さらに実験的手法による機能配列の同定までを目指すことにした。 【研究の成果】 (1)異なる金属イオンストレスマイクロアレイデータ(Al,Cd,Cu,NaCl)を基に、各々の金属イオンの応答遺伝子を網羅的に調べ、応答遺伝子のリストを作成じた。 (2)応答する遺伝子のプロモーター配列に対し、ppdbウェブツールを用いてプロモーター上流にある候補シス配列を抽出した。 (3)平行して、頻度解析から直接候補シス配列を抽出する方法により[2]、金属イオンストレス応答を担うと予測されたシス配列を39個同定できた。また、シス配列の組み合わせによる制御が考えられ、マイクロアレイデータをもとに50の組み合わせを検出することに成功した。 (4)抽出した候補シス配列を用いて、89個の合成プロモーターを作製した。
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