研究課題/領域番号 |
11F01096
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
片倉 賢 北海道大学, 大学院獣医学研究科, 教授
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研究分担者 |
ALAM M.z. 北海道大学, 大学院獣医学研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | リーシュマニア / マイクロサテライトDNA / 原虫 / 系統樹 / 南・東アジア / 中国 / パキスタン / バングラデシュ |
研究概要 |
内臓リーシュマニア症はイヌ科動物が保虫宿主となる節足動物媒介性の人獣共通原虫性疾患である。本疾患はアジア各地への拡大が懸念されており、その対策には疫学情報の蓄積が不可欠である。近年、マイクロサテライトDNAを用いた解析方法(MLMT)が開発され、同一原虫種の株間の区別や系統解析において、その有用性が示されている。本研究の目的は、Dr. Alamと共同して(1)中国のリーシュマニア株のMLMTを行い、原虫の侵入と分布拡大のメカニズムを明らかにする。(2)パキスタンのリーシュマニア株のMLMTを行い、原虫の侵入と分布拡大のメカニズムを明らかにする。(3)バングラデシュのイヌの抗リーシュマニア抗体保有率とリーシュマニアDNA保有率を調査することである。平成25年度はパキスタンのLeishmania major株のMLMTを行った。すなわち、L. majorのDNAが検出された人の皮膚生検材料66検体について10のマイクロサテライトマーカーを用いてPCR増幅を行い、集団構造、遺伝的距離、系統樹、遺伝子座多様性を解析した。その結果、パキスタンで見出されたL. majorは2つの集団、すなわち32検体からなるA集団と34検体からなるB集団にわかれた。各国で分離され既に解析済みのL. major130株と比較したところ、パキスタンのA集団とB集団はそれぞれ、中央アジア、イラン、中近東そしてアフリカの株とは異なる集団であることが明らかになった。今回調査したパキスタン南部の皮膚リーシュマニア症の流行地はイランに隣接しているため、隣国イランとの関係が深い原虫株であることを予想していたが、パキスタンの株はイランとは明らかに異なる集団であり、独自に進化した可能性が考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
(抄録なし)
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