研究課題/領域番号 |
11F01097
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
石塚 真由美 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授
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研究分担者 |
DARWISH ABDALLAH 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | 環境化学物質 / 野生動物 / アフリカ / シトクロムP450 |
研究概要 |
シトクロムP450の分子種のひとつCYP1A1は様々な発がん物質や変異原物質を代謝的に活性化し、化学物質の毒性を決定する重要な異物代謝酵素である。CYP1A1はAhR(アリルハイドロカーボン受容体)によって転写調節を受けており、CYP1A1の上流域のXRE(Xenobiotic Response Element)に結合してその転写を活性化することが知られている。最近、我々はカロテノイド類がAhRの機能に影響を及ぼすことを見出しており、カロテノイドがCYP1A1の生理的な動態の決定因子の一つである可能性を見出している。そこで、本研究では、カロテノイド類がAhRに及ぼす影響、およびその他のシトクロムP450分子種を制御する転写調節因子とのクロストークを明らかにし、カロテノイド類の新たな機能を明らかにすることを目的とする。 平成23年度は、主に培養細胞を用いたin vitro実験により、カロテノイド類がAhRの機能の及ぼす影響を明らかにした。ラットや人の肝臓の培養細胞(H4IIE細胞、HepG2細胞)を用いて、βカロテンやレチノール、AhRの典型的リガンドである多環芳香族類や、環境化学物質である重金属類を曝露した。特に、重金属類が、AhR、CYP各分子種や抱合酵素類の発現を抑制することが明らかとなった。また、金属類、特に鉛や銅は、カロテノイドを切断・開裂する酵素BCMO(β-carotene 15,15'-monooxygenase)の発現も抑制することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カロテノイド類や環境化学物質の薬物代謝酵素群に対するクロストークについてその現象をつかむことができた。そのメカニズムにういては今後の検討課題であるが、おおむね予定通りに研究が進んでいると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度以降には、カロテノイド類がAhRをはじめとする転写調節因子とどのようにクロストークするのか、その分子メカニズムを明らかにする。また、AhRだけではなくCARやPXRなどの核内調節因子やNrf2など、薬物代謝酵素群の調節因子との相互作用について明らかにする。 平成25年度以降は、これらの研究結果をまとめると同時に、カロテノイド類の臓器分布に影響する因子とそのカスケードを明らかにする。
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