研究課題/領域番号 |
11F01103
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
石田 竜弘 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授
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研究分担者 |
ABULILA Amr Selim Ahmed Ali 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 外国人特別研究員
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キーワード | RNAi / DDS / siRNA / がん治療 |
研究概要 |
研究代表者は既に、経口型抗がん剤(S-1)の繰り返し投与とPEG修飾siRNAナノキャリア複合体の静脈内投与とを併用することで、PEG修飾siRNAナノキャリア複合体の腫瘍移行量が上昇することを確認している。さらに、RNAiにおいて重要な役割を果たすArgonaute2(Ago2)遺伝子に対するsiRNA、およびアポトーシス抑制遺伝子であるBcl-2に対するsiRNAを用いた場合、s-1と併用した場合において高い抗腫瘍効果が得られることを確認しており、本戦略がsiRNAの配列および標的遺伝子によらない普遍的なものであることを明確にしている。当該研究期間において研究分担者のABU LILA博士と協力し、S-1の繰り返し投与時の腫瘍内微小環境変化について引き続き検討した。その結果、5-FUによる抗新生血管作用(休薬期間中に幼弱な血管がむしろ産生される)と血管近傍のがん細胞を死滅させる(血管への圧力が減り閉じていた血管が開く)ことによる血流の改善、がん細胞が死滅する事によるPEG修飾siRNAナノキャリア複合体が拡散可能な細胞間隙の拡大、これらが生じた結果として、PEG修飾siRNAナノキャリア複合体の腫瘍移行量が上昇した事を明らかにした。さらに、5-FU系抗がん剤使用時に問題となっている分解酵素の発現亢進をsiRNAによって抑制することで、5-Fu誘導体(s-1)投与時の治療効果改善を目指し検討を行った。経口型抗がん剤(s-1)の繰り返し投与とPEG修飾siRNAナノキャリア複合体の静脈内投与とを併用することで、想定した通り高い抗腫瘍効果が得られる事を確認することができた。現在、最適な投与レジメンを明らかにするべく、検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該特別研究員は平成23年9月に来日し、また研究費は平成23年12月に配賦されており、実質の研究期間は7カ月である。成果と実質の研究期間を鑑み、研究の進捗状況は概ね良好であると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度における研究は当初の計画通り円滑に進んでいる事から、平成24年度においても研究計画調書に掲げた通りの当初の計画に従って研究を推進する。
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