研究概要 |
本研究では、以下の成果を得た。 1)Acer nikoenseの骨芽細胞に及ぼす作用:Acer nikoenseから分離した6種類の化合物を検討し、diphenyl ether-type cyclic diarylheptanoidsが骨芽細胞分化を促進することを明らかにした。 2)Rosmarinic acidの骨芽細胞と破骨細胞に及ぼす作用:Rosmarinic acidは、古典的Wnt経路を介して骨芽細胞分化を促進するとともに、活性型ビタミンDやRANKLで誘導された破骨細胞形成を抑制した。破骨細胞の抑制過程では、RANKLの誘導するp38のリン酸化とRANKLの誘導するNFATc1, c-Jun, c-Fosの転写活性を抑制することに起因することを明らかにした。 3)口腔癌による骨破壊メカニズム: A:口腔癌の産生するCXCL2の役割の解析:口腔癌細胞株HSC3より十数の単一細胞に由来するクローン化細胞株を樹立し、各細胞株がST2細胞のRANKL発現に及ぼす作用とヌードマウス頭蓋部移植による骨破壊能を検討した。その結果、HSC3-C13はHSC3-C17に比べてRANKL誘導脳と骨破壊能が顕著に高いことを見いだした。そのため、両細胞間での遺伝子発現をマイクロアレイで解析したところ、HSC3-C13ではCXCL2の発現が顕著であった。そして、CXCL2は口腔癌の産生する破骨細胞性骨吸収促進因子であることを明らかにした。 B:骨破壊における口腔癌細胞と間質の産生するRANKLの役割の区別化:ヒト口腔癌細胞をヌードマウスの頭蓋部に移植する骨破壊モデルを用いた。この場合、癌細胞の産生するRANKLはヒト由来で、間質の産生するRANKLはマウス由来である。ヒトとマウスのRANKLを特異的に中和するRANKL抗体を用いて、癌細胞および間質の産生するRANKLが口腔癌の骨破壊で重要であることを明らかにした。
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