研究課題/領域番号 |
11F01215
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研究機関 | 公益財団法人微生物化学研究会 |
研究代表者 |
柴崎 正勝 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 所長
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研究分担者 |
DEVARAJULU Sureshkumar 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所・有機合成研究部, 外国人特別研究員
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キーワード | 不斉触媒 / ダイレクトアルドール反応 / プロトン移動型反応 / チオアミド / チオラクタム / 原子効率 |
研究概要 |
触媒的不斉ダイレクトアルドール反応は、有機合成化学上極めて有用なキラルβ-ヒドロキシカルボニル化合物を廃棄物フリーで合成可能にする高付加価値な有機合成技術である。我々の研究グループでは、ソフトLewis酸/ハードBronsted塩基協奏触媒系を用いることにより、ソフトルイス塩基性を有するカルボン酸酸化状態のチオアミド官能基の化学選択的活性化を鍵とする触媒的不斉ダイレクトアルドール反応の開発に成功している。本反応は、syn選択性の発現に限られるというデメリットがあったが、今回Suresh博士とチオラクタムを用いる触媒的不斉ダイレクトアルドール反応に取り組み、高いanti選択性を発現する反応の開発に成功した。anti選択性発現の鍵は、E-enolateの形成とイス型反応遷移状態にあることから、チオラクタムが最適な反応基質であると考えた。チオアミドのダイレクトアルドール反応における知見から、ソフトなLewis酸であるキラル銅触媒と塩基の協同作用により、アルデヒド存在化にチオラクタムからの選択的なE-enolateの形成が可能と予測した。触媒としてmesitylcopper/(R,R)-Ph-BPEを用いて、チオラクタムのN上の置換基を種々検討した結果、N-PMPとした場合に3mol%の触媒量で円滑に反応が進行し、高いanti選択性、エナンチオ選択性にて目的生成物が得られる事を確認した。本反応条件を用いて基質一般性の検討を行った。一般に、自己縮合が問題となる脂肪族アルデヒドをアルドールアクセプターに用いても自己縮合が全く確認されず、望みのアルドール生成物が高収率・高立体選択性にて得られた。本触媒系は、エステル、エーテル、イミド、ピリジン等種々の官能基を有するアルデヒドにおいても適用可能で、極めて汎用性の高いantiアルドール合成法と言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、本antiアルドールプロトコールを活用した重要生物活性化合物の不斉合成に向け、チオラクタムの官能基変換法を包括的に検討している
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今後の研究の推進方策 |
本anti選択的ダイレクトアルドール反応を重要医薬品の短工程不斉合成に応用すると共に、本触媒系のニトリル型求核種前駆体を用いる反応に最適化する。
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