研究課題/領域番号 |
11F01320
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松村 昭孝 大阪大学, 情報科学研究科, 教授
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研究分担者 |
HUANG Xiangdi 大阪大学, 情報科学研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | 圧縮性粘性流体 / 初期値問題 / 時間大域解 / 漸近安定性 / 真空 / 希薄波 / 粘性接触波 |
研究概要 |
研究代表者松村は、大学院生吉田夏海との共同研究において、単独粘性保存則の初期値問題に対する時間大域解の漸近挙動の問題を、移流項の関数(流東関数)が一部区間で線形でありその他では一様な凸性を持つ場合について考察し、適当な初期値の条件の下に、粘性保存則の解は希薄波と粘性接触波で構成される多重波パターンに漸近することを示した。この結果は、国際学術誌SIAMJ. Math. Anal.に掲載された。また、研究分担者Xiangdi Huangとの共同研究において、空間3次元における粘性気体のバロトロピックモデル(圧力が密度の関数とした、密度と流速の方程式系)の初期値問題に対する球対称解の古典解について考察し、時間大域解が存在しなくなる時間には必ず原点で質量が発散することを示し、現在この結果の軸対称解などへの拡張を試みている。分担研究者Xiangdi Huangは蘇州大学のYun Wangとの共同研究において、空間2次元での非斉次ナヴィエ・ストークス方程式に対する初期値問題を考察し、時間大域的古典解の存在について、初期値が真空を含む場合や粘性係数が密度に依存する場合などを扱うなど大幅に既存の結果を拡張することに成功した。この結果は、国際学術誌J. Diff. Eqns.に掲載された。さらに、蘇州大学のYunWangや中国科学院のJin Liとの共同研究により、空間3次元における粘性気体の方程式で温度まで考慮した系について、真空を含み得る古典解が時間大域的に存在するための規範条件について現在研究が進行している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
論文リストや学会講演リストが示すように、おおむね順調に成果がでており、さらには現在蘇州大学のYun Wang氏や中国科学院のJin Li氏との共同研究が活発に進行中であることから、最終年度でのさらなる進展が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
研究内容としては、昨年度に引き続きこれまで得られた結果が、流体がバロトロピックであることから、現在進行中の温度も入ったより物理的に意味のある場合への研究に集中する。推進方策自体は定期的な個人的セミナーの実施と各種国内外の研究集会での研究交流、さらには関連研究者の日本への招へいを行うという従来の方策を引き続き行い、特に変更はない。
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