研究課題/領域番号 |
11F01321
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
白石 潤一 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 准教授
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研究分担者 |
SILANTYEV Alexey 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | 量子カロジェロ・モーザー系 / Affine Hecke環 / Frobenius manifold / Ding-Iohara代数 |
研究概要 |
本研究の目的は、量子Calogero-Moser系の代数構造を幾何学的構成法によって理解すること、及び、共形場の理論とその差分類似における特異ベクトルの構造を解明することである。以下、現在までに得られた成果について述べる。(1)標準的な理論的枠組みのひとつであるCherednikのdouble affine Hecke algebraに着目しその表現論を研究した。拡張されたCalogoro系と呼ばれる新たな可積分系の構成を、楕円的なポテンシャルを持つ場合に対しても行った。(2)Macdonald系を記述するための代数的であるDing-lohara代数の幾何学的な側面について研究した。Local Calabi-Yau多様体に付随した幾何学的不変量を代数的に構成するための一連の結果を得た。(3)double afnne Hecke algebraとDing-Iohara代数は、ある意味でSchur-Weyl双対の関係にあると期待されるので、Ding-Iohara代数のR行列とDunkloperatorの関係について研究を開始した(4)M.FeiginとSilantyevの研究しているFrobenius manifoldの構造とMacdonald-Ruijsenaars系の研究をさらに進め、Ding-Iohara代数、W代数や共形場の理論の立場から見ると何を意味するのか明らかにするための研究を開始した。Feigin-Silantyevは、Frobenius manifoldや齋藤のflat coordinateを用いて、rational Cherednik代数の特異ベクトルを構成したことに注意し、Ding-Iohara代数の表現論における特異ベクトルと、Frobenius manifoldの構造との関連に関する研究を開始した。共形場の理論のBPZ方程式やKZ方程式に対する差分理論を構築しつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SILANTYEVの来日は平成23年11月であった。以後、およそ半年が経過したことになるが、これまでに多くの問題について議論を重ね、そのうちの幾つかについてはすでに解決に近い所まで進展してきている。また、関連する新しい問題が提起されることもあり、これまでの研究計画はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策の重要な点のひとつとして挙げられることは、今後SILANTYEVに国内外の多数の研究機関を訪問してもらい、最新の研究成果を公開すること及び最新の情報を収集することである。そして、研究代表者とSILANTYEVは、この分野の最先端の研究者達との議論を基に、本研究課題の研究に関してこれまで以上に深い考察を進め、意義のある研究成果を導きたい。
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