研究概要 |
本研究の本年度の目的は、量子カロジェロ・モーザー系に関するいくつかの構造の研究であった。 その研究実績の概略を以下に記す。 (1)Talalaevの行列式公式を拡張して、楕円関数で表される系に適応できる結果を得た。それを、Felderのdynamical L作用素及び、dynamical shiftを持つ楕円的Gaudin模型に適用した。 (2)Sergeev, Veselovの結果を拡張して、一般化されたMacdonald-Ruijsenaars系をdouble affine Hecke代数の表現論を用いて調べた。 (3)P.Etingov, G.Felder, Xiaoguang Ma, A.Veselovによって調べられた楕円的Dunkl作用素を用いて、拡張された楕円的Calogero-Moser系を研究した。 (4)orbitspace上のFrobenius構造とsingular polynomialの関係を発見した。それを用いて、Cherednik代数のあるクラスの表現論を調べることができた。DubrovinのFrobenius manifbldに関するalmostdualityにより、orbitspaceのSaitocoordinateを用いてsingular polynomialを構成することができた。 (5)Manin行列のq-類似をq-行列式について研究した。その結果を量子アフィン代数のL作用素に適用した。 (6)Ding-Iohara代数のprimary場の相関関数の満たす差分方程式を研究し、それがMacdonald差分作用素の固有関数となることを示した。その楕円化についても考察を行った。
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