研究課題/領域番号 |
11F01322
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
尾中 敬 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授
|
研究分担者 |
LEE Ho-Gyu 東京大学, 大学院・理学系研究科, 外国人特別研究員
|
キーワード | 超新星残骸 / 赤外線観測 / 分光観測 / 星間物質 / 星間塵 |
研究概要 |
超新星爆発は星間空間におけるエネルギー、及び核合成物質の供給源として重要な現象であり、宇宙の物質進化に大きな影響を与えている。またダストの供給源としても大きな寄与があると考えられている。特に宇宙初期には中・小質量星の進化が遅いため、これらの星からのダスト供給が少ないと考えられ、core-collapse型の超新星からのダスト供給が卓越していることが理論的に予想されている。一方、これまでの可視・赤外線の観測からは、超新星残骸に伴うダスト量が予想値より桁で少ないことが示唆されている。最近のあかり、あるいはHerschel衛星の観測により、Cas A,SN 1987Aでは低温のダストがある程度の量観測されるようになり、理論予想に近い値も検出されてきているが、観測数が少なく、また星間ダストからの前景・背景放射の影響もあり、超新星爆発に伴い生成されるダスト量については、未だ観測的に十分定量的な値が求められていない。このような背景のもと、本研究では、あかり衛星の全天サーベイデータを利用し、超新星残骸の探査を行い、統計的に超新星爆発に伴うダスト生成量を明らかにすることを目的とする。本年度は、全天サーベイデータの解析を行う環境を整えた。同時にKes17超新星残骸について地上近赤外線分光観測データの解析を進め、周囲の星間物質と超新星残骸との相互作用を明らかにする研究を行った。また来年度以降に行う、地上望遠鏡を用いた近赤外線の鉄の禁制線によるサーベイ観測の検討・準備を進めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は11月末より研究がスタートしたため、来年度以降の解析・研究環境を整えることに重点を置いたが、すでにKes17超新星残骸についてのあかり衛星の観測データの研究をまとめることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
あかり衛星の全天サーベイデータは内部公開が順調に行われており、予定通りこのデータを用いた超新星残骸のサーベイを進める。同時に地上近赤外線分光観測により、特定の超新星残骸の観測データの解析を行い、周囲の星間物質との相互作用を明らかにする研究を進める。また鉄の近赤外禁制線を用いた銀河面の超新星残骸のサーベイを行い、あかり衛星のデータとの比較を進める予定である。
|