研究課題
超新星爆発は星間空間におけるエネルギー、及び核合成物質の供給源として重要な現象であり、宇宙の物質進化に大きな影響を与えている。またダストの供給源としても大きな寄与があると考えられている。特に宇宙初期には中・小質量星の進化が遅いため、これらの星からのダスト供給が少ないと考えられ、core-collapse型の超新星からのダスト供給が卓越していることが理論的に予想されている。一方、これまでの可視・赤外線の観測からは、超新星残骸に伴うダスト量が予想値より桁で少ないことが示唆されている。このような背景のもと、本研究では、あかり衛星の全天サーベイデータを利用し、超新星残骸の探査を行い、統計的に超新星爆発に伴うダスト生成量及び周囲との相互作用の現象を明らかにすること目的に研究を行った。本年度は特に「あかり」の全天サーベイの中で特に明るく検出された超新星残骸G349.7+0.2について、「あかり」衛星による近赤外線の分光観測の解析を行うと同時に、すばる望遠鏡を用いた追観測を提案し、実行した。「あかり」の近赤外線スペクトルからは、星間空間に普遍的に検出される多環式芳香族炭化水素(以後、PAH)のうち特に小さいサイズのものに起因すると考えられる3.3ミクロン輝線バンドが検出された。PAHは一般には超新星残骸中で破壊されることが予想されており、銀河系内超新星残骸については、これが初めての検出である。さらに「あかり」衛星の分光データとすばる望遠鏡の観測データから3.3ミクロンバンドの空間分布を調べたところ、周囲の分子雲周辺で増大している傾向を見いだした。これは分子雲付近の衝撃波の中で、小さいPAHが生成されている可能性を示唆する新しい知見を得た。
(抄録なし)
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