研究課題/領域番号 |
11F01334
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
門出 健次 北海道大学, 大学院・先端生命科学研究院, 教授
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研究分担者 |
CHANNAPILLE Kopp 北海道大学, 大学院・先端生命科学研究院, 外国人特別研究員
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キーワード | スフィンゴシン / 脂質 / 立体異性体 / エリスロ / スレオ / VCD / スルフォン酸誘導体 / 化学合成 |
研究概要 |
キラル化合物として、まず、スフィンゴシン類からスタートすることにした。スフィンゴシンは、二つの不斉炭素を有する長鎖アミノジオール構造を有する生理活性脂質である。以前に開発した合成ルートに従って、化学合成を実施した。特に、収率等の最適化のため、反応条件の検討を詳細に行った。L-セリンを出発原料として、官能基を保護した後、メチルボスホン酸ジメチルを付加させ、Wittig-Horner反応により、トランスエノン体を得た。その後、DIBAHにより、α-アルコール体を選択的に得ることができた。また、L-Selectrideにより、β-アルコール体を得ることに成功した。それぞれ、脱保護することにより、エリスロスフィンゴシンとスレオスフィンゴシンを得ることに成功した。また、D-セリンを出発原料とすることにより、エナンチオマーの合成にも成功し、4種の立体異性体(D-erythro,L-threo,L-erythro,D-threo)を、それぞれ数百mg得ることができた。 次に4種の立体異性体のVCD測定を行った。溶解度の問題もあり、測定は重水素メタノールで行った。赤外スペクトルは、極めて類似していたが、VCDスペクトルは、顕著な違いを見せた。特に1680cm-1付近の二重結合のC=C伸縮に相当する吸収は、単純にアリルアルコールの立体化学を反映しており、また、指紋領域部分の吸収パターンを合わせることにより、4種の立体異性体がVCDスペクトルにより判別可能であることが判明した。 次に、スルフォンアミド系の生理活性物質の創成を目的として、アミノスルフォン酸類の合成についての文献検索を実施した。特に、カップリング反応についての問題点について検討した。また、スルフォン酸の保護基に関しての問題点も抽出することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
最初のキラル化合物として、4種のスフィンゴシン立体異性体を合成することができた。しかし、スルフォンアミド系の合成については、文献調査にとどまっているため。
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今後の研究の推進方策 |
スフィンゴシンのVCDシグナルが弱いため、この分子に特殊な保護基を導入、シグナル強度の増加と溶解性の増加を試みる。
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