研究課題/領域番号 |
11F01336
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
吉村 敏章 富山大学, 大学院・理工学研究部(工学), 教授
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研究分担者 |
SHEIKH Md.Chanmiya 富山大学, 大学院・理工学研究部(工学), 外国人特別研究員
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キーワード | λ^6-スルファンニトリル / フルオロイミノスルフォニウム塩 / フッ化アルキル / [2,3]シグマトロピー転位 |
研究概要 |
硫黄窒素三重結合化合物λ^6-スルファンニトリルから得られた新規化合物フルオロイミノスルフォニウム塩は、フッ素化剤や環化剤等、さまざまな応用が期待できる。そこでそれらの応用について研究するためにも必要な情報を得るために、基本的な性質である加水分解機構について速度論的な研究を行った。置換基効果、活性化パラメーター、溶媒同位体効果、およびBuffer効果、pH効果等の検討の結果、従来考えられなかった水の付加した超原子価中間体を通って反応している証拠が得られた。またさらなる珍しい誘導体であるフェノキシイミノスルフォニウム塩の合成法が確立したので、このものの加水分解反応機構を速度論的に検討した。このものはアルカリ条件で加水分解しフルオロイミノスルフォニウム塩の加水分解とは全く異なる反応機構で進むことが分かった。またこのフェノキシイミノスルフォニウム塩は室温で熱分解し、次第に真っ黒なタール状物質になる。この分解機構として[2,3]シグマトロピー転位が考えられる。そこで2,4,6-トリメチルフェノキシイミノスルフォニウム塩の合成を試みたところ、予想通り転位した状態で安定化した大変珍しい化合物が得られ、単結晶X-線構造解析で明らかになった。これはキノンイミン前駆体とも考えられ、合成への応用が期待できる。またいろいろなアルコールを脱水剤を加えて収率良くフッ素化できることを見いだした
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フルオルイミノスルフォニウム塩の加水分解反応機構から超原子価中間体の存在やフェノキシイミノスルフォニウム塩の加水分解機構の研究から新しい発見があったこと。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画ではアルキル化の検討と立体化学の検討を行う予定であったが、ガスクロの故障によりこの研究を後に回して、フェノキシイミノスルフォニウム塩の加水分解機構を研究した。ガスクロの準備も整ったのでこれから立体化学の検討を行う予定です。
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