研究概要 |
本研究の属するプロジェクト全体では,高性能・低消費電力な高性能演算"Green HPC(High Performance Computing)"の実現のため,CPU,GPU(グラフィック処理ユニット)そして"FPGAカスタムアクセラレータ"からなるヘテロジニアスな構成を想定し,それにユーザープログラムを自動マッピングするソフトウェア群の開発を目的である.その目的を達成するために以下点を本年度の研究計画で着目した. 1.アプリケーションのタスクをCPUおよびGPUやFPGAアクセラレータに自動マッピング 本プロジェクトの1年目で構築した高性能・低消費電力な高性能演算プラットフォーム上複数のタスクを持つアプリケーションを実行し、タスクの性質とアクセラレータテンプレート間の関係を調査した.自動マッピングに必要となるその調査結果を学会論文"FPGA Implementation of Heterogeneous Multicore Platform with SIMD/MIMD Custom Accelerators"において発表した. 2.CPU,GPU,FPGAで構成されたノード間のデータ転送手法の提案 本提案の高性能演算プラットフォームのPCIexpressポートを通し,CPUからGPU及びFPGAヘデータ転送する通信手段を確立した.CPU,GPU間の転送量を減らすため普段倍精度のデータを扱う処理を単精度と倍精度のハイブリッド処理に変更する手法を提案した.提案によりデータ転送量が40%ほど削減され処理速度が1.5以上増加した,その評価を学会論文"Hybrid Single/Double Precision Floating-Point Computation on GPU Accelerators for 2-D FDTD"にで発表した.また,CPUとFPGA内部及び外部メモリへの通信お行うソフトベアを構築した.倍精度浮動小数点演算の95%以上を32ビット固定小数点演算で行う手法によりCPUとFPGAを使い従来と同じ性能を0.1%以下の消費電力で実現した.
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今後の研究の推進方策 |
今後は、高性能演算が必要となる大規模なアプリケーションをマッピングしその性能評価を行うことが重要である.具体的なアプリケーションとしては流体のシミュレーションとゲノムシーケンスのマッピングを考えている.これらのアプリケーションを提案のGreenHPCで実行しその性能を従来のCPUから構成されているスーパーコンピューターでの性能と比較し,処理速度,コストや消費電力などの観点から評価する予定である.また,タスクやアプリケーションごとにカスタムアクセラレータテンプレートを最適化する事が重要である.そのため,今まで調査してきていた,タスクの性質とアクセラレータテンプレートのパラメータの関係を定式化し,最適化問題に組み込む必要があり,それは今後の大きな課題である.
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