研究課題/領域番号 |
11F01350
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
赤池 敏宏 東京工業大学, フロンティア研究機構, 教授
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研究分担者 |
HOSSAIN Md.Sharif 東京工業大学, フロンティア研究機構, 外国人特別研究員
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キーワード | 炭酸アパタイトナノ粒子 / ES細胞 / siRNA / ドキソルビシン-炭酸アパタイトナノ粒子複合体 / E-カドヘリン・Fcキメラタンパク質 |
研究概要 |
当研究室で設計し発展させてきた炭酸アパタイト(CA)ナノ粒子の構造安定性はpH依存性が高く細胞内に効率的に取り込まれた後、エンドソーム内(低pH)で急速に崩壊する特性を有している。本研究初報発表以来この無機材料系ナノ粒子はドラッグデリバリーシステム(DDS)に期待される性能条件の殆どを満たす優れたバイオマテリアルとしての評価が定着しつつある。 今年度は(1)制ガン性医薬であるドキソルビシン(DOX)のドラッグデリバリーによるガン治療(大阪大学医学部消化器外科との共同研究)と(2)リポーター遺伝子(GFP)やsiRNAをES細胞内へ導入する再生医療への応用を主テーマとして追求した。 その結果(1)ドキソルビシンを炭酸アパタイトナノ粒子に効率的に包摂させることが出来、癌細胞内にDOXを効率的に(92%)送達・崩壊させることに成功した。そして、いくつかのヒトガン細胞を有効に細胞死させうることも判明した。DDS用バイオマテリアルとしての性能をより一層高め、細胞識別性CA粒子サイズをより安定かつ小さくするために超音波照射が有効であることを見出した。現在、BALB/CAヌードマウスに移植させたヒトガン細胞の殺傷効果を解析中である。(2)マウスES細胞は当研究室の開発したE-カドヘリン-Fcキメラタンパク質マトリックス上に分散状態で単層培養させることが可能である。この細胞に対して、GFP遺伝子やそのsiRNA、さらには細胞周期制御用siRNAを前述の炭酸アパタイトに包摂させることによりこれらの細胞への導入がきわめて均一かつ高効率に達成されることを見出した。 さらにCAナノ粒子側にE-カドヘリンとは異なるレセプター認識性リガンド(フィブロネクチン/FN)のコーティングを行いその遺伝子の発現効果を分散状態のES細胞培養系で検討したところ、極めて効率が高まる事を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定していた以上に炭酸アパタイトの調整方法(微粒子化・均一化)が改良され、制ガン剤、遺伝子、SiRNAキャリアーとしての性能に優れている事が判明した。
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今後の研究の推進方策 |
最近、共同研究(大阪大学・医)を通じて超音波での処理などによるナノ粒子としての微粒子化が可能であると判明したのでいよいよin vivo(血管内投与)実験が、可能になりつつある。全面的にナノ粒子のin vivo手段としての発展が期待できる
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