研究課題/領域番号 |
11F01362
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
三木 則尚 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授
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研究分担者 |
PRIHANDANA GUNAWANSETIA 慶應義塾大学, 理工学部, 外国人特別研究員
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キーワード | 成膜技術 / ナノポア / パリレン / バイオメディカル / マイクロデバイス / 表面改質 |
研究概要 |
本研究の目的は、ナノ多孔質ポリマーを用い、マイクロデバイスの界面をバイオメディカル用途に適するよう制御することである。本研究では特に、ナノ多孔質ポリマーとしてパリレンを、マイクロデバイスとして携帯型人工透析システムのためのマイクロフィルタリングデバイスおよび、脳波検出用フレキシブル針電極を研究対象とする。パリレンは低い表面エネルギーを有する生体適合性が高いポリマー膜であり、低真空においてコンフォーマルに成膜できる。液体上にも成膜でき、かつ適切な蒸気圧を有する液体を用いることでナノ多孔質膜とすることができる。本研究で研究対象とするマイクロフィルタリングデバイスは、ナノ多孔質を有するポリエーテルサルフォン(PES)膜をフィルタとして用いるが、透析中に血液成分が固着する問題を有している。これを、PES薄膜をナノ多孔質パリレンにより被覆することにより解決する。また、フレキシブル針電極においてはフレキシブルなポリマー上に銀薄膜を成膜するが、銀薄膜とポリマーとの密着性が悪い。そこで、銀薄膜上にナノ多孔質パリレンをコーティングすることで、導電性を有しつつ銀の剥離を防ぎ、安定な脳波検出を実現する。平成23年度は、ナノ多孔質パリレン薄膜の成膜条件を明らかにした。適切なパリレンダイマー量を選択することで、例えばPES膜上に成膜したときには、PESのナノボアをふさがずに表面改質できることを、マイクロフィルタリングデバイスを用いた低分子イオン拡散実験、ならびに接触角測定により明らかにした。また成膜中に、グリセリンの蒸発を利用することで、より効率よくナノポアを保持できることが明らかになった。また同様にナノポアパリレン膜を用いることで、フレキシブル針電極の銀を保護しつつ、導電性を保つことに成功した。これらの結果を複数の国際学会に投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
PES膜のナノポアを保持したままのナノポーラスパリレン成膜に成功した上に、フレキシブル針電極についても、銀を保護しつつ導電性を保てるプロセスを開発できたため。
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今後の研究の推進方策 |
ナノポーラスパリレンによる、ナノポアを保持したままの表面改質、ならびに導電性を保持したままの銀薄膜保護に成功したため、今後はこれを用いたデバイスの実証試験を行う。具体的には、ナノポーラスパリレンをコーティングしたPES膜と、牛血を用いた長期間透析実験、ならびにフレキシブル針電極を用いた脳波ならびに筋電位計測を行う。
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