研究課題/領域番号 |
11F01364
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
武田 博明 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授
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研究分担者 |
ZUBAIR M.A. 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | 非鉛材料 / 粒界構造 / 電場応答 |
研究概要 |
本年度はまずCaドープBT-BNT半導体セラミックスの半導体化メカニズムの解析を行った。CaO添加BaTiO_3-(Bi_<1/2>Na_<1/2>)TiO_3(BT-BNT)半導体セラミックスの作製は通常のセラミックス合成法で行った。BNT含有が10mol%であるBa_<0.9>(Bi_<1/2>Na_<1/2>)_<0.1>TiO_3(BT-10BNT)の仮焼粉に対してCaOを添加し、焼成したセラミックスにおいて、その添加量が0.02より低い場合には半導体化しないことがわかった。添加量が0.02以上であるCaO添加BT-10BNTセラミックスは、室温での抵抗率が10^2~10^3Ωcm程度で半導体となり、160℃付近から抵抗の増加がみられた。また、交流インピーダンス測定からもキュリー温度T_cの上昇が確認された。BT-10BNT半導体セラミックスの化学組成分析を行なった結果、CaO添加量の増加に伴いNaが顕著に減少することが分かった。また、粉末X線回折分析からは異相は見られず、エネルギー分散型X線分光法による元素マッピングでもCaの偏析が認められなかった。これらのことから、添加したCaはペロブスカイトABO_3構造中に固溶し、さらにCa^<2+>がAサイトのNa^+を置換していることが分かった。また、セラミックス中におけるNa^+とBi^<3+>の含有量の差が大きいほど室温抵抗率が低くなることが分かり、Ca^<2+>がNa^+を置換することでBi^<3+>が残留し、そのBi^<3+>がドーパントとなりキャリア(電子e')を発生させていることが示唆された。本年度はさらに新材料となるCaドープBaTiO_3-(Bi_<1/2>K_<1/2>)TiO_3(BT-BNT)セラミックス合成の前段階として、母材のBT-BKTセラミックスの半導体化を行った。BT-BKTセラミックスは低酸素濃度雰囲気中で焼結することで半導体化するが、PTC特性発現には大気アニール処理が必要であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PTCRデバイス試作へ向けた試料合成も行い,自作の解析プログラムを作製し粒界の電場応答解析を行った。すでに査読付論文誌に1報掲載、1報印刷中、1報査読中(1回目の査読結果が届き、軽微な訂正で掲載可の判断がなされた)に報告している。
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今後の研究の推進方策 |
11で述べたとおり現在までおおむね順調に研究は進展しており,今後も当初の計画通りに研究を進めていく.本研究で開発するCaドープや半導体化の手法により現在の含鉛PTCR素子より高性能な非鉛材料を開発する。
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