研究課題/領域番号 |
11F01365
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
野田 進 京都大学, 工学研究科, 教授
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研究分担者 |
OSKOOI Ardavan 京都大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | フォトニック結晶 / 太陽電池 / 量子井戸 / 熱光発電 |
研究概要 |
フォトニック結晶は、光の波長程度の周期的屈折率分布をもつ光材料であり、様々な光制御の可能性から注目を集めている。本研究は、自然エネルギーとして最近注目を集めている太陽電池にフォトニック結晶を適用することで、太陽電池の高効率化を目指すものである。研究開始時においては、多重量子井戸を用いた電子状態の制御と、フォトニック結晶を用いた光子状態の制御を組み合わせることで、広範囲の太陽光スペクトルを適切な帯域に制限された熱輻射へ変換することを目指していたが、新たに、フォトニック結晶のもつ特異点における大面積共振作用を用いた太陽電池の光吸収増大を提案し、合わせて検討を進めた。 本年度は、主に後者について、電磁界解析のためのFDTDプログラムの開発を進め、これを用いて光吸収の解析を行った。この結果、フォトニック結晶構造にランダム性を導入した新しい構造の提案を行い、入射角度や偏光に依存せずに光吸収を増大可能であることを明らかにした。これにより、太陽電池の光電変換効率の向上につながると期待できる。さらに、現在部分的にランダム性を導入し、残りは完全に周期性を維持した構造の検討を進めており、さらなる吸収増大を示唆する結果が得られている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画の、多重量子井戸・フォトニック結晶の組み合わせ構造に加えて、フォトニック結晶の大面積共振作用を用いた太陽電池の光吸収増大に関しても研究を進めている。この4か月間で、実際の試料作製も見据えながら構造の設計を進めることに成功しており、引き続き設計を進めるとともに試料作製・評価も行っていきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、フォトニック結晶構造にランダム性を導入した太陽電池に関してより詳細な検討を行う。特に、現在検討を進めている、部分的にランダム性を導入した構造について、入射角度や偏光に依存せずに如何に吸収を増大させるかについて検討を進めたい。合わせて、本構造の有用性を実験的に示していくことも目指していきたい。
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