研究課題/領域番号 |
11F01375
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
後藤 孝 東北大学, 金属材料研究所, 教授
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研究分担者 |
ZHAO Pei 東北大学, 金属材料研究所, 外国人特別研究員
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キーワード | CVD / 高温超電導酸化物 / プラズマプロセス / 厚膜 / 電気伝導特性 |
研究概要 |
本年度は、レーザープラズマハイブリッドCVD装置およびその原料供給系を開発し、高温酸化物超電導体YBa_2Cu_3O_<7-δ>およびCeO_2バッファ層の高効率合成プロセスを開発することを目的とした。特に、高効率のYBa_2Cu_3O_<7-δ>作製プロセスを確立するためには、Y、Ba、Cuの各有機金属原料を有機溶媒と混合した原料を用いることが有効であるが、このような原料供給手法は確立されていない。また、優れた超電導特性を得るためにはYBa_2Cu_3O_<7-δ>膜の配向成長方向を、c軸に制御する必要がある。 原料供給系および原料の噴霧・気化器を開発した。各金属のβ-ジケトン錯体をテトラヒドロフラン溶液に所定のモル比で混合し液体原料とした。レーザーCVD法により、CeO_2膜およびYBa_2Cu_3O_<7-δ>膜を合成した。CeO_2膜は、O軸方向に配向成長した。YBa_2Cu_3O_<7-δ>膜は、O軸方向に配向成長した。レーザーCVD法で合成したc軸配向YBa_2Cu_3O_<7-δ>膜の超電導臨界温度は90Kであり、YBa_2Cu_3O_<7-δ>の一般的な臨界温度と同等であった。YBa_2Cu_3O_<7-δ>膜の組成を最適化することにより、超電導臨界電流密度は2.7MA/cm^2に達した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
液体原料供給装置を改良し、YBa_2Cu_3O_<7-δ>補膜の組成を最適化することで、超電導臨界電流密度の大幅な向上に成功した。本手法を用いて作製したYBa_2Cu_3O_<7-δ>はc軸配向成長しており、超電導臨界温度は90K、超電導臨界電流密度は2.7MA/cm^2を達成している。一方、開発した装置を用いてa軸配向CeO_2膜の合成にも成功しており、CeO_2膜とYBa_2Cu_3O_<7-δ>膜の連続成膜を行い、超電導電流を確認した。
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今後の研究の推進方策 |
より優れた超電導特性を示すYBa_2Cu_3O_<7-δ>膜を合成するためには、YBa_2Cu_3O_<7-δ>喝膜だけでなく、下地層となるCeO_2膜の配向制御に加えて、微細構造制御や組成制御が重要になる。これまで得られた研究成果を基に、レーザープラズマハイブリッドCVDを用いた高温酸化物超電導膜の連続合成プロセスを開発する。
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