研究課題/領域番号 |
11F01389
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
浜崎 恒二 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授
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研究分担者 |
CUI Yingshun 東京大学, 大気海洋研究所, 外国人特別研究員
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キーワード | ジメチルサルファイド / ジメチルスルフォニオプロピオネイト / 細菌 / 赤道域 / 亜熱帯海域 |
研究概要 |
ジメチルサルファイド(DMS)及びその前駆物質であるジメチルスルフォニオプロピオネイト(DMSP)の海水中での変換、分解に関わる海洋細菌群集の主要代謝遺伝子について、その時空間的な分布と発現量の変動パターンを明らかにすることを目的とした。白鳳丸航海(H24年1/27カヤオー3/5東京)にDMS観測チームと乗船し、遺伝子定量のための環境試料を採集した。研究用海水を用いたモニタリングによって、南北亜熱帯海域及び赤道域の航路上で複数のDMS濃度のピークを検出し、DNA抽出用の海水ろ過試料を採取した。あわせて20の解析用試料を持ち帰り、DNA抽出後、DMSP変換遺伝子に特異的なプライマー8種類を独自にデザインし、DMS生成酵素をコードするdddP遺伝子1種類とDMSPの脱メチル化酵素をコードするdmdA遺伝子7種類について、いずれかの遺伝子を有する細菌数を定量PCR法によって推定した。また、16SrRNA遺伝子PCR-DGGE法によって細菌群集構造の解析を行った。同時に、水温、塩分、クロロフィルといった環境パラメータの測定を行った。その結果、平均で全細菌の33%がdddPもしくはdmdA遺伝子を有すること、dddP遺伝子保有率は亜熱帯海域より赤道域の方が高く10-23%であることなどが推定された。定量された8種類の遺伝子数は、海域毎に特徴的な構成比を示し、細菌群集組成のパターンと良く一致した。さらに、亜熱帯域におけるdddP遺伝子数は、海水中のDMS濃度と有意な正の相関を示したごとから、これらの海域では細菌群集によるDMSP代謝がDMS生成とリンクしていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画した分析をほぼ終了し、学会での成果発表と論文化を進めている
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今後の研究の推進方策 |
今年度得られた成果の論文化を進めると共に、新たな試料(メソコズム実験)の分析を行い、成果発表と論文化を進める。
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