研究課題/領域番号 |
11F01390
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
石井 尊生 神戸大学, 農学研究科, 教授
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研究分担者 |
PHAM ThienThanh 神戸大学, 農学研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | イネ / Oryza sativa / 野生イネ / Oryza rufipogon / 農業形質 / 早朝開花性 / 戻し交雑自殖系統 |
研究概要 |
本研究は、アジアの野生イネ(Oryza rufipogon W630)を2種類の典型的な栽培品種(O. sativa Japonica NipPonbareおよびO. sativa Indica IR36)で戻し交雑した自殖系統を用いて、'野生イネ由来の有用農業形質に関する新規遺伝子を探索することを目的としている。 まず、O. sativa Japonica Nipponbareで戻し交雑した161の自殖系統については、6つの種子形質(種子重、種子長、種子幅、玄米長、玄米幅、有芒性)および6つの農業形質(出穂期、稈長、穂長、穂形、分げつ数、早朝開花性)に関するQTL,解析を行った。その結果、合計35カ所のQTLが推定された。特に、早朝開花性については第4および第5染色体上の2カ所にQTLが検出された。そこでさらに、それぞれの領域で組換えをおこした個体を選抜し形質調査を行ったが、環境変動の影響を受けた結果となった。次年度は、少なくとも1つの領域については野生種の染色断片を持ち、もう1つの領域で組換えを起こした系統を選抜し、形質調査を行って、早朝開花性を支配する遺伝子のファインマッピングを行う予定である。 もう1つの、O. sativa Indica IR36で戻し交雑した172系統からなる戻し交雑自殖系統については、Nipponbare遺伝的背景の系統で調べたものと同じ種子形質と農業形質について調査を行った。次年度は、これらの形質データと分子マーカー座の遺伝子型データを統合しQTL解析を行う予定である。そして、異なる遺伝的背景を持つ戻し交雑自殖系統の結果を比較することにより、それぞれで推定された有用QTLがイネ栽培種JaponicaおよびIndicaの双方に効果を持つものかどうかを調べる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開始前に、研究材料が予定通り準備できていたため、解析等がスムーズに行えた。また、形質調査についても効率よく行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の結果では、早朝開花性は環境要因に影響を受けやすかった。そこで、はっきりとした表現型を得るために、少なくともどちらかのQTL領域については野生種由来の染色断片を持たせることとし、そのうえで組換え体の選抜を行うことにした。
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