研究課題/領域番号 |
11F01392
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
酒井 裕 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授
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研究分担者 |
HOWLADER M.T.H. 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | Bacillus thuringiensis / Cry4Aa / 蚊 / 受容体結合部位 / 遺伝子組換え / 競合実験 |
研究概要 |
Cry4Aaと受容体の相互作用を解析するため、推定上の受容体結合部位(ドメインH(V^<322>~H^<524>及びIII(S^<525>~Q^<695>))に相当するポリペプチド(4AaDII及びDIII)の調製を試みた。ポリペプチドのコード領域はCry4Aaの人工遺伝子(Cry4Aa-S1、hayakawa et al.,2008)からPCR法で増幅し、発現ベクター、pΔGST-4AaCter(hayakawa et al.,2010)を用いて発現させた。pΔGST-4AaCterはタンパク質をアルカリ可溶性の凝集体として発現させるベクターである。その結果、4AaDIIIの生産には成功したものの、4AaDIIは強アルカリ条件下でも可溶化しない凝集体を形成した。またドメインIIを3つに分割したポリペプチド、4AaDII-1(P^<311>~D^<408>)、DII-2(T^<354>~E^<455>)、DII-3(G^<414>~H^<524>をデザインしたが、同様な凝集体を形成して状況は改善しなかった。そこでドメインIIについては分子表面に露出するループ構造を一つずつ含む6種類のポリペプチド(4Aaβ1-α8(E^<325>~T^<354>、ループα8を含む)、4Aaβ2-β3(T^<361>~H^<388>、ループ1を含む)、4Aaβ4-β5(Q^<396>~G^<414>)、4Aaβ6-β7(I^<419>~I^<447>、ループ2を含む)、4Aaβ8-β9(K^<456>~G^<475>)、4Aaβ10-β11(H^<499>~H^<524>、ループ3を含む))をデザインして再度発現を試みた。リカーシブPCR法で人工合成した遺伝子をpΔGST-4AaCterを用いて発現させた結果、ポリペプチドを凝集体として大量調製することに成功した。解析の結果、本方法で調製した凝集体は昆虫幼虫の消化液と同じpH11付近のアルカリ条件下で可溶化し、アカイエカ幼虫を用いたバイオアッセイにそのまま利用できることが期待された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、Cry4Aaの推定上の受容体結合部位(ドメインII及びIII)に相当するポリペプチドの大量調製が可能となった。ポリペプチドは昆虫幼虫の消化液と同じpH11付近で可溶化するため、そのままバイオアッセイで用いることが可能と考えている。現在はアカイエカ(Culex pipiens)幼虫を用いたバイオアッセイ系の検討を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
アカイエカ幼虫(ボウフラ)を用いたバイオアッセイ系を構築する。コンペティターとして投与するポリペプチドの状態や投与量などの条件を検討した上で、様々な組み合わせ(1~数種類)でCry4Aaと同時にボウフラに投与し、死虫率の変動からポリペプチドの競合能を評価する。またCry4Aa及びポリペプチドと標的となるアカイエカ幼虫刷子縁膜の膜タンパク質の相互作用を分子間相互作用解析装置で解析する。
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