研究課題/領域番号 |
11F01405
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
良永 知義 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 教授
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研究分担者 |
KARLU MARX ANDAYA Quiazon 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | Anisakis simplex / Anisakis pegreffii / 地理的分布 / 宿主内移行 |
研究概要 |
Anisakis pegreffi三期幼虫をニジマス体腔内に外科的に挿入するという攻撃試験を行い、昨年度Anisakis simplex s.s.で行った同様の攻撃試験の結果と比較した。その結果、A. pegreffiiはA. simplex s.s.に比較して、明らかに筋肉に侵入しにくいことが示された。また、両種ともに、水温が高いほど筋肉に移行する期間が短くなったが、水温は筋肉への移行率に大きな影響を与えなかった。体腔内の虫体をみると、A. simplex s.sでは宿主組織による鞘の形成がみられたのはいくつかの虫体に限られていたが、A. pegreffiiではほとんどの虫体に対して宿主反応が見られた。また、体腔内と筋肉内の虫体の合計はどちらも経過時間とともに減少した。体腔内での宿主反応により虫体が死滅する、あるいは虫体の筋肉への移行が阻害されるという現象が生じているものと思われた。北部日本海のマアジならびにサクラマスから得られた虫体の種を分子生物学的に判別したところ、全てA. simplex s.s.であった。この結果をQuiazon et al. (2011)が示した結果と併せ考えると、A. simplexは日本沿岸の太平洋側と北部日本海に分布し、A. pegreffiiは東シナ海と西部日本海に分布することが確かめられた。このことから、A. pegreffiiは東シナ海から西部日本海に主として生息する鯨類・海獣類を終宿主とし、A. simplex s.s.は太平洋ならびに北部日本海に生息する鯨類・海獣類を終宿主としている可能性が示された。
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今後の研究の推進方策 |
(抄録なし)
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