研究課題/領域番号 |
11F01407
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
橘 哲也 愛媛大学, 農学部, 准教授
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研究分担者 |
KHAN M.I. 愛媛大学, 農学部, 外国人特別研究員
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キーワード | 畜産学 / 脳・神経 / 行動学 / 薬理学 / 栄養学 |
研究概要 |
本研究では、ブロイラーヒナの脳内摂食調節機構を明らかにするため、その祖先種であるセキショクヤケイの摂食調節機構を解明することを目的としている。ニワトリヒナにおける脳内摂食調節因子の研究では、卵用種を用いることがほとんどで、ブロイラーに関する情報は決して多くない。卵用種の脳内摂食調節因子の作用はセキショクヤケイに近いと考えられるので、本年度は卵用種とブロイラーの脳内摂食調節機構を比較した。まず、ブロイラーヒナおよび卵用種ヒナを24時間絶食させた後に、脳内で最も摂食調節に関わっている間脳を摘出し、間脳における摂食調節因子のmRNA発現量をリアルタイムPCR法にて調べた。本年度では、摂食を抑制する因子としてニューロペプチドY(NPY)とソマトスタチン(SST)を、摂食を抑制する因子として副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)、グレリン、血管作動性腸ペプチド(VIP)、プロオピオメラノコルチン(POMC)のmRNA発現量を対象とした。その結果、NPYとSST、VIPのmRNA量が絶食により増加し、CRHとグレリンのmRNA量が減少した。さらに、NPYとSST、CRH、グレリンにおいてはブロイラーのmRNA発現量が卵用種よりも少ないことが明らかとなった。特に、CRHとグレリンにおいては、自由摂食状態でも発現量が少なかった。前述の様にCRHとグレリンはヒナの摂食を抑制する因子なので、ブロイラーではこれらの因子があまり作用しないがためにより多くの飼料を摂取している可能性があると推察される。また、ブロイラーと卵用種にSST、VIPおよびグレリンを脳室内投与した場合の摂食量の変化を調べたところ、いずれの摂食調節因子においても両品種で同様の作用が見られた。今後は投与量等の実験条件を変えて、摂食調節因子の作用の強さについて比較する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究を遂行するにあたって必要な実験環境はほぼ全て整い、実験結果も順調に出始めているため、(2)おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、対象とする摂食調節因子の数を増加するとともに、本研究の課題であるセキショクヤケイを用いた研究を進める。
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