研究課題
本研究では、ブロイラーヒナの脳内摂食調節機構を明らかにするため、その祖先種であるセキショクヤケイの摂食調節機構を解明することを目的としている。本年度は昨年度に引き続き、卵用種とブロイラーの脳内摂食調節因子の発現量を比較した。まず、両品種ヒナを24時間絶食させた後に、間脳を摘出し、間脳における摂食調節因子のmRNA発現量をリアルタイムPCR法にて調べた。本年度では、ウロコルチン3(UCN3)、コレシストキニン(CCK)、メソトシン(MT)、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)について新しく調査したところ、UCN3およびMTのmRNA発現量が絶負とともに変化することを見出し、さらにUCN3、CCKおよびMTのmRNA発現量がニワトリ品種間で異なることを明らかにした。次いで、セキショクヤケイにおける摂食調節因子のmRNA発現量を調べるため、マレーシアのサバ大学の共同研究者に依頼してセキショクヤケイの間脳の現地での分析を依頼した。加えて、より安定してセキショクヤケイサンプルを入手するため、国内の養鶏愛好家からセキショクヤケイを入手して現在繁殖を目的として飼育している。2012年12月末にヒナが孵化したので、2013年6月以降にはヒナを多数入手することが可能になると考えられる。また、昨年度の研究成果から、ニワトリ品種間の摂食調節機構の違いには副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)が重要であることが判明した。そこで、卵用種を用いてCRHの摂食抑制作用機序についても調査した。CRH受容体サブタイプ2の内因性アゴニストの一つであり、かつ摂食抑制作用をもつUCN3も同時に調べたところ、UCN3の作用が品種間で異なっていたことから、CRHのみならずUCN3もニワトリ品種間の摂食調節機構の違いに関わっていることを明らかにしつつある。現在、UCN3の摂食抑制作用機序を調査している。
2: おおむね順調に進展している
本研究を遂行するにあたって必要な実験環境はほぼ全て整い、実験結果も順調に出始めているため、(2)おおむね順調に進展していると判断した。
今後は、これまでに得られたセキショクヤケイを用いた研究を発展させる。また、対象とする摂食調節因子の数をより増やしてニワトリの摂食調節因子を網羅的に解析する。
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