研究課題
本研究ではブロイラーヒナの脳内摂食調節機構を明らかにするため、その祖先種であるセキショクヤケイの摂食調節機構を解明することを目的としている。昨年度に引き続き、卵用種とブロイラーの脳内摂食調節因子のmRNA発現量をリアルタイムPCR法にて調べたところ、アグーチ関連ペプチド(AGRP)およびガラニン(GAL)の発現量が両品種間で異なることを見出した。これまでの実験から、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)、ウロコルチン3 (UCN3)、ニューロペプチドY (NPY)、AGRPおよびGALがニワトリ品種間の摂食行動の違いに関係していると考え、両品種の各発生段階での各ペプチドのmRNA発現量を調べところ、CRHとUCN3は艀化後から、GAL、NPYとAGRPは孵化前から発現量に違いが見られた。以上の結果を踏まえ、セキショクヤケイにおける各摂食調節因子のmRNA発現量を調べた。しかし、CRHmRNA発現量は個体間の変動が大きく他品種との比較できるものではなかった。これは、CRHがストレスに関わっているため、各品種間のストレス反応の違いがmRNA発現量に影響を与えたと考えられる。一方、セキショクヤケイにおけるNPYとAGRPの発現量はブロイラーよりも高く、GALは低かった。ただし、AGRPの様に卵用種の発現量がブロイラーやセキショクヤケイよりも高いもの存在していたことから、必ずしも体重の軽重に伴って変化するものだけではない摂食調節ペプチドがあることも明らかとなり、卵用種は今後の研究の対照には成り得ないことが示唆された。本研究の結果、CRH、UCN3、AGRP、NPYおよびGALなどがブロイラーの過食に関わる可能性を見出した。しかし、セキショクヤケイの家畜化に伴って摂食調節ペプチドの遺伝子発現量も多様な方向性をもって変化したことも明らかとなった。今後は各摂食調節ペプチドの遺伝子発現量を調べるだけではなく、その生理的意義を明確にすることで、遺伝子発現量の変化と過食の関係性を明らかにする包括的な研究が必要となるであろう。
2: おおむね順調に進展している
本研究の目標の全てを達成できなかったが、その大部分を遂行できたため、②おおむね順調に進展していると判断した。
本研究期間が終了したため、これまでに得られた研究成果を論文としてまとめ公表する。
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Domest Anim Endocrinol
巻: 47 ページ: 27-34
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