研究課題/領域番号 |
11F01417
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
下川 宏明 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授
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研究分担者 |
BUDBAZAR Enkhjargal 東北大学, 大学院・医学系研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | endothelium / EDHF / H2O2 / AMPK / NO |
研究概要 |
本研究の目的は、内皮由来過分極因子(EDHF)の作用機序、特に、我々が世界に先駆けて発見・同定したEDHFとしての内皮由来H2O2の産生機構や血管平滑筋での作用機序の解明である。具体的には、代謝性疾患のシグナル機構として重要なAMP kinase(AMPK)に関して、AMPK欠損マウスを用いたEDHF反応におけるAMPKの役割を解明する。 我々は、新たに3種類の血管内皮特異的AMPK欠損マウス(α1,α2,α1+α2欠損マウス)を作製し、摘出微小血管(冠動脈、腸間膜動脈)におけるEDHF/H2O2の役割を、微小血管の発生張力をorgan chamberを用いて検討した。また、EDHF反応の評価に必須の血管平滑筋の膜電位測定は、微小電極法を用いて測定した。さらに、ランゲンドルフ灌流心システムを用いて、冠循環におけるEDHFの役割について検討した。我々が知る限り、拍動心を用いて冠血流におけるEDHF/H2O2の役割を検討する世界で初めての研究になる。 その結果、AMPKα1欠損マウス,AMPKα1+α2欠損マウスではEDHF反応が冠動脈でも腸間膜動脈でも低下していることが明らかになったが、AMPKα2欠損マウスでは変化がなかった。この結果から、血管内皮のAMPKα1がEDHF反応に重要な役割を果たしていることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
内皮特異的AMPK欠損マウスでは、冠動脈や腸間膜動脈においてEDHF反応が低下しているという我々の当初の作業仮説を確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
内皮特異的AMPK欠損マウスの血圧調節機序の検討や内皮細胞培養実験を行う予定である。さらに、AMPKのEDHF反応における役割について、創薬に結びつく分子機構の解明を目指す。
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