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2012 年度 実績報告書

精神疾患における凝集性タンパク質の構造機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 11F01512
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

田中 元雅  独立行政法人理化学研究所, タンパク質構造疾患研究チーム, チームリーダー

研究分担者 HUI Kai-WanKelvin  独立行政法人理化学研究所, タンパク質構造疾患研究チーム, 外国人特別研究員
キーワード精神疾患 / 神経変性疾患 / タンパク質凝集体 / ミスフォールディング / ニューロン
研究概要

ゲノムワイドな遺伝学的な研究で同定されてきた精神疾患(統合失調症や自閉症など)の危険因子の多くが、界面活性剤に抵抗性のあるタンパク質凝集体を形成することを、昨年度までに見出してきた。本年度は、「精神疾患におけるタンパク質凝集仮説」を検証するために、その仮説に基づいて、これまでに作成してきたコンディショナルノックアウト(cKO)マウスを用いて、これら凝集性の高いことが明かになった危険因子の多くが、同マウス脳のニューロン内で実際に凝集体を形成していることを、脳懸濁液を用いた沈降実験、凝集体を膜上で捕捉するフィルタートラップ実験、脳切片を用いた免疫染色実験から確認した。また、統合失調症のヒト患者脳を用いて、複数の精神疾患危険因子の凝集化を見出したが、今後さらに検体数を増やして確認する必要がある。
cKOマウスの海馬CA1領域におけるスパイン密度の減少、Ca2+/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼ活性およびアクチンの重合活性の低下を明らかにした。また、cKOマウスの海馬スライスを用いた電気生理実験から、LTPの欠陥を見出した。さらに、cKOマウスの行動解析を昨年から引き続き行ったところ、異なる複数のテストで社会的相互作用に欠如を見出した。
また、本年度は、精神疾患危険因子の凝集体が抑制性ニューロンで選択的に形成するようなマウスを作成した。現在、そのマウスについても上記の解析を行っている。
以上から、精神疾患危険因子の凝集によって精神障害が発現するという、精神疾患におけるタンパク質凝集仮説の検証を行う。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

神経細胞やマウスを用いた解析で、多くの精神疾患危険因子タンパク質の凝集性が高いことを見出し、本研究で提案した仮説に基づいて作成したマウスが、社会性の欠如などの精神障害の表現型を出すことを見出しため。

今後の研究の推進方策

これまでの仮説に基づいて作成したマウスの免疫化学、生化学的な解析を引き続き行い、どのような精神疾患危険因子タンパク質がマウスの脳内で凝集しているか、さらなる検討を行う。また、他の電気生理実験も引き続き行い、マウスにおけるシナプスの機能について調べる。社会性の行動以外にも、自閉症や統合失調症に特化した行動の解析も行い、本マウスが、どのような精神疾患モデルになるかさらに検討を加える。また、これまでに取り寄せた、統合失調症および自閉症のヒト患者脳で、我々の注目している精神疾患危険因子タンパク質が凝集しているか調べる。さらに、このマウスの表現型およびニューロンの機能変化が、本当に精神疾患危険因子の凝集化に起因するのかを検証するために、一旦生じた危険因子の凝集体を脱凝集させることで、精神障害の表現型が喪失するか検討を行う。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 備考 (1件)

  • [備考]

    • URL

      http://www.motomasalab.brain.riken.jp

URL: 

公開日: 2014-07-16  

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