研究課題/領域番号 |
11F01514
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
中川 真一 独立行政法人理化学研究所, 中川RNA生物学研究室, 准主任研究員
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研究分担者 |
IP YuenYanJoanna 独立行政法人理化学研究所, 中川RNA生物学研究室, 外国人特別研究員
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キーワード | Gomafu / Malat1 / スプライシング / ノンコーディングRNA / 核内構造体 / パラスペックル / NEAT1 / メタンフェタミン |
研究概要 |
大規模なトランスクリプトーム解析の結果、蛋白質をコードする遺伝子の数は生物の複雑さと必ずしも強い相関が無いという意外な事実が明らかとなってきた。本研究においては、核内に大量に蓄積する二種類の長鎖ノンコーディングRNA、GomafuとMalat1に注目し、そのノックアウトマウス由来の細胞を用いて、これらの遺伝子がどのような核内プロセスを制御しているのかを明らかにする事を目的としている。 Gomafuのノックアウトマウスはメタンフェタミンの連続投与に著しく感受性を示すことが分かっている。このことはGomafuが神経活動に応じて起こる何らかのプロセスを制御している事を示唆している。そこで海馬の培養神経細胞を用いて脱分極による刺激を行ったところ、Gomafuの発現が一過的に低下することが分かった。今後、このような神経活動の一過的刺激時に起こる遺伝子発現変化をノックアウトマウス個体を用いて調べることで、Gomafuの生理機能が明らかになることが期待される。 Malat1は、培養細胞を用いた先行研究により、特定の遺伝子の選択的スプライシングを制御していることが示されている。そこで、Malat1ノックアウトマウス由来の各組織からmRNAを回収し、スプライシングのパターンが変化しているかどうかを調べたところ、マウス個体においては培養細胞で見られるような変化が見られないことが分かった。また、Malat1の小腸において、核内構造体であるパラスペックルの構成因子NEAT1の発現が低下していることも分かった。これらのことから、Malat1は生体内においては核内構造の制御に関わっていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していたMalat1のノックアウトマウス由来の組織を用いた遺伝子発現解析は、予定通り行う事が出来た。また、神経活動に応じてGomafuの発現が変化するという予期していなかった現象を見つけることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
神経活動に応じてGomafuの発現が変化することの生理的な意義をさらに追求するために、Gomafuのノックアウトマウス由来の海馬神経培養細胞に対して脱分極刺激を与え、遺伝子発現の時系列における変化を次世代シークエンサーを用いて解析する。また、Malat1がNEAT1の遺伝子発現を制御するメカニズムを更に詳しく調べるために、NEAT1プロモーター領域におけるRNAポリメラーゼの局在をクロマチン免疫沈降法を用いて調べる。さらにNEA1の転写産物の安定性が変化しているかどうかについても検討を行う。
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