研究概要 |
前年度までに側鎖部位(western zone)の触媒的不斉合成, ウリジン部位とジアゼパノン環連結部のジアステレオ選択的構築, 並びにジアゼパノン環内に存在するβ-ヒドロキシ-αアミノ酸部位の立体制御を目指した触媒的不斉anti-ニトロアルドール反応による前駆体の合成を行っている. これにより, caprazamycin全合成において鍵となる絶対立体化学の制御は全て完成した. 25年度は得られた各フラグメントの連結, 必要な官能基変換, および保護基の脱着によるcaprazamycinの全合成達成を目指した. ウリジン由来のisocyanoacetateアルドール反応成績体はアミノリボース部位前駆体とのグリコシル化を経て, 触媒的不斉anti-ニトロアルドール反応付加体から導かれた中間体とカップリングを行った. 還元的アミノ化によるジアゼパノン環の構築の後, 同環状に存在する2級水酸基上のTES基を選択的に除去しwestern zoneとの縮合を各種試みたが現在まで成功に至っていない. モデル化合物を用い, 低収率ながら目的物が得られる方法も見出されたので, 今後はこれを最適化し全合成の早期完成を目指す. また, western zone未導入の中間体の全保護基を酸性条件で除去することでcaprazolの触媒的不斉全合成を完成し, 立体化学を含む骨格構築及び必要な官能基の導入が正しく行われたことを確認した.
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